保険商品を提供しているのは保険会社だが、保険加入の際に一般消費者が相談をする窓口の一つに「代理店」がある。なぜ代理店が存在するのか、代理店を利用するメリットはどこにあるのか。保険業界の潮流も説明しながら説明する。

保険業界の構造と代理店が担う役割とは?

保険業界では、大きくわけて「保険業」と「少額短期保険業」の2つに分類される。少額短期保険業とは、保険期間が2年以内で保険金額が1,000万円以内の保険と取り扱う事業のことだ。保険業はさらに「生命保険業」と「損害保険業」に分かれる。

生命保険業と損害保険業、少額短期保険業に携わるそれぞれの民間の保険会社は、自社の営業組織によって直接顧客に対して自社の保険の募集や商品の勧誘などを行うほか、各保険会社と委託契約を結んだ代理店などを通しても営業活動を行う。

つまり代理店は、顧客と保険会社の間に入る第三者機関として存在する。保険契約自体は契約者本人と保険会社が結ぶ形となるが、代理店は契約者に対して保険商品の勧誘や保険契約を締結するための手続きの説明、保険料の領収などを担う。顧客の保険相談には無料で応じるのが一般的だ。

契約後も保険の変更・解約や、保険金の受け取りのために必要な請求手続きに対する助言などを担当する。一方でこれらの業務は、それぞれの保険会社とそれぞれの代理店の業務委託契約の内容によって、保険会社側で担当する場合と代理店側で担当する場合がある。

生命保険代理店のビジネスモデルとは?

生命保険業界と損害保険業界保険では、代理店のビジネスモデルに違いがある。

生命保険の代理店では基本的に、保険の契約を獲得したときに保険会社から手数料(報酬)が支払われる。1契約に対する手数料は委託契約によって定められている。この手数料は保険会社によっても保険商品によっても異なるが、5~7%ほどが一般的とされている。

通常は保険商品の種類によって手数料が受け取れる期間が定められる。たとえば、保険商品Aでは7年間、保険商品Bでは9年間という具合だ。つまり生命保険の代理店の場合は、終身保険の契約を獲得した場合でも、その契約が続く限り手数料を代理店が受け取ることができる、というわけではないのだ。

この手数料は保険商品によっても異なるために、代理店の担当者は手数料が多い保険商品を顧客に勧める傾向がある。このため、代理店が勧めてくる保険商品と実際に顧客に合っている保険商品が異なる可能性があるのだ。契約者側はほかの代理店に「セカンドオピニオン」を聞き、本当に自分に合った保険を選ぶことも必要となる。