『ジョブチューン』でパンケーキ事件が勃発
『M-1』の新審査員が明らかにされていないなか、「審査」のあり方についてあらためて問いかけるような出来事があった。11月26日放送『ジョブチューン』(TBS系)の内容だ。同回では、大手レストランチェーンのロイヤルホストが、自慢の料理を一流料理人たちに試食してもらい、審査を受けてそのメニューの合否判定をもらうものだった。
ただ、その審査が大きな物議を醸した。低価格でフレンチが楽しめることが売りであるロイヤルホスト。しかし、審査員たちからは辛口判定が次々と飛び出した。特に話題になったのが、創業以来の伝統メニューであるパンケーキをめぐる審査員たちの講評だ。
ロイヤルホストのパンケーキは495円という低価格でおいしく食べられるとあって、幅広い層から人気の商品。同店の企画開発者や料理人たちは、味わいだけではなく、焼き方、焼き色も約50年にわたって受け継がれてきたものであると強調した。
ただ、審査員である一流料理人たちはパンケーキに激しく噛みついた。審査講評のなかで違和感があったのは「提供額を値上げして、もっとこだわったパンケーキを作るべき」いうコメントである。
ロイヤルホストは、前提として「お得な値段でフレンチが食べられること」が紹介されていた。軸足がそこにあることを考えるとそのコメントは本末転倒であり、料理人としてロイヤルホストのユーザーが求めているものに向き合えていないと考えざるを得ない。パンケーキが3枚重ねで提供されている点についても、別の審査員は「1枚にした方が良い」と指摘。約50年間、お客に親しまれてきた提供スタイルに対するこの意見も同じく、改善点としては具体性に欠けるように思えた。
また審査員は「最近のフライパンは機能が進化しているため、焼き色なども家庭で再現できる」と講評。ただ、果たして激安スーパーで販売されているフライパンでも、ロイヤルホストのパンケーキは再現可能なのだろうか。レシピを見ずにそれを作ることはできるのだろうか。「家でも同じようなものが作れる」ではなく、ユーザーにとって大切なのは、普段の手間暇を省いてそれが食べられるかどうかでもある。少なくとも「家でも作れるかどうか」は審査として適切とは言えず、家では手が出せない高級な食材や機材をつかって調理する一流料理人としての目線でしかなかった。