◆一番近いスーパーには車で20分!

 次に話を聞いたのは、A県出身のリエさん(仮名・42歳)。実家は、一番近いスーパーまで車で約20分、通院している病院には約45分もかかる場所だそうです。

「山奥の田舎町なので、買い物に出るのも大変なんです。しかも雪国だから、歩いて移動なんてできない。完璧な車社会の地域です」

 そんな場所に暮らすリエさんの両親は、どちらも77歳。リカさんは東京都内に住んでいますが、実家のある県内には兄(52歳)と姉(49歳)が住んでいます。

「県内に兄と姉がいますが、どちらも実家からは車で2時間以上かかるところに住んでいるので、頻繁に手伝うのは難しいみたいなんですよね」

◆免許を返納するよう提案したくても…

悩む女性
 そんなリエさんは、高齢者の事故のニュースを見るたびに、両親にも免許を返納してほしいと思うようになったそうです。しかし、実際には難しいとジレンマを感じています。

「実家は車がないと生活できない場所なので、免許を返納したら買い物や通院もできなくなってしまうんです。兄や姉が同居しようと言ってくれていますが、両親は長年住んでいる場所を今さら離れたくないようで……。免許を返納してしまうと両親の生活を奪ってしまうことになるから、なかなか言い出せません」

 今は、実家の買い物を姉がネットスーパーで注文してくれているそう。でも、急に何かが足りなくなったり、通院しなければいけなかったりすると、どうしても運転せざるをえない状況だそうです。

 免許返納率は高まっていると言いますが、さまざまな事情から免許を返納できない家庭もあります。高齢者の移動支援など、公的サービスのさらなる充実が必要だと言えるでしょう。

<取材・文/nami>

【nami】

3人の子をもつママライター