さて、国内経済復調を予見させるような光景の広がりに期待を寄せたくなるのだが、なぜか福岡空港を利用した観光客からは「ありえない」という不満がそこかしこから聞こえている。というのも、空港が異様なまでに混雑しており、フライト時間の遅延が起きているからだ。

 もともと、福岡空港は都心部から地下鉄で十数分とアクセスが良く、九州の空の玄関口としてとても便利であると評価が高い。しかし11月中旬の状況にはその評判からは考えがたい、むしろ他の空港ではありえないようなオペレーション上の混乱が見え隠れしていた。

 現地を見るとたしかに、保安検査場の前にはディズニーランドのような大行列。ホールの端から端まで並ぶ利用客たちは、「飛行機に乗れないないかもしれない」という焦燥感や不安に苛まれていた。そして次のような不満の声が聞こかれた。

「1時間30分以上も前に余裕を持って到着したのに、危うく飛行機に乗れないところだった」
「もう出発まで時間がないのに、航空会社からはわざわざ列の最後尾に並ぶよう指示された。こちらが『間に合わないので』と懇願すると、『時間になったら呼びに行く』と言われた。しかしギリギリになっても呼びに来ない。こちらから関係ない担当者に頼んでようやく入れてもらえた」
「自分たちの便より出発時間の遅い飛行機の客が次々と割り込みで通過していた。航空会社同士の連携もなく、本当に不安な気持ちになった」
「実際に保安検査場に入ると担当者たちには焦った様子もない。ただ混んでるためか、いつもよりチェックは適当な感じだった」
「結局、最後の客が乗るまで飛行機の出発時間が大幅に遅れた」

 なお、現場にいた編集者が空港側に混雑の理由を聞いてみたが、「“意見”はメールで」と一蹴されてしまった。

 雷雨や雪など天災で飛行機が遅延することは仕方がないことだ。ただ乗客数も発着便数も事前に分かっているのに、利用客の行動をコントロールできないとなると話は別だ。そもそも、収容能力やオペレーションに問題があると言わざるをえない。今後、さらに観光客が増えた時にどう対応できるのだろうか?ビジネス利用の顧客もいるはずなので、問題はますます深刻となろう。

 たしかに、新型コロナの影響で、観光業やサービス業から離れた人が多く、どこも対応に迫られているという話もある。

 とはいえ今回のように、「混んでるのだから仕方ない」という冷ややかな対応からは、復調する観光需要に応えて空港をより良くしようという気概は感じられない。トップや経営陣がこのような不便な状況を重く受け止めなければ、いくら便利でも福岡空港の評判は落ちていくはずだ。


提供・日刊サイゾー

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