◆慌てる周りを尻目に、当の本人は涼しい顔

「男性陣もビックリしてフリーズしていました。お酒をかけられた人も、怒るより先にア然としていて、周りのお客さんも何があったのかとこちらを見ていました。視線が痛かったです」

 そして、お酒をかけた張本人の友人は、驚くみんなをよそに「瑞希、帰ろ」とさっさと席を立ち、涼しい顔で店を出てしまいました。男性陣の応酬が怖くて、彼女を追いかけ、逃げるようにその場を去った吉川さんですが、心臓はバクバク。

「頭が大混乱なわたしをよそに、友人はケロッと『あースッキリした、どこかで飲みなおそう』と言い出しました。友人の大胆な一面を見て、ビックリするやら頼もしいやら。ある意味忘れられないクリスマスになりました」

 楽しい合コンのはずが、まさかの修羅場になったクリスマス。その後友人は素敵な彼氏ができ、すっかり穏やかになったそうです。

―シリーズ「冬の恋愛、悲喜こもごも」―

<文/塩辛いか乃 イラスト/朝倉千夏>

【塩辛いか乃】

世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako