シスターたちが大ハッスルするドタバタコメディが最高!

 修道院の撮影に使われたのは1911年に設立された、聖ポールカトリック教会。この教会は、サンフランシスコの高級住宅街にある。映画では建物の壁や大人のおもちゃ屋(!)に大量の落書きがされていたけど、あれは美術スタッフが街の一角をスラムに見えるように汚く作り変えているのだ。

 劇中では奉仕活動でシスターたちが街を奇麗に清掃するのだけど、一度汚した街をまた奇麗にするというね。

 聖歌隊の噂を聞いたローマ法王が教会に訪れることに。その際、聖歌隊は修道院長が推す、従来通りの神聖な讃美歌にするか、デロリスの指揮するまったく新しい讃美歌にするかが投票で決めることに。結果、ほとんどの人間がデロリスの讃美歌に投票する。

 その頃、奉仕活動がテレビで取り上げられたことで。所在がバレることを恐れたサウザー警部補は裁判の期日を48時間後と定めたため、デロリスは思いのほか早く修道院を去ることに。あとは修道院長にすべてを託そうとするが、自分の案が支持されなかったことに失望した彼女は「保守的で頭の固い自分にはもうここに居場所がない」と、別の修道院に移ることを決めており、デロリスの説得にも耳を貸さなかった。

 翌日、警察の内通者がデロリスの居場所を知り、連絡を受けたヴィンスの部下によってデロリスは連れ去られてしまう。修道院長からデロリスの正体を聞かされた聖歌隊は驚くが、内向的な性格をデロリスによって変えられたシスター・ロバートが、自分たちの手で彼女を救い出さなければいけないと主張。シスターたちは修道院長含め全員一致でデロリスの救出を決定。大型ヘリを強引に借りて(この際の強引なやり方、最高に笑えます)リノのクラブに突入するのだった。

 公開された途端大人気となり、アメリカでは半年にわたりロングランを記録、今も語り継がれる名作だ。

 この成功は当初の想定から、主演と脚本家が離れていったことからはじまった。

 舞台もシカゴからサンフランシスコに。主演のウーピーはキャリアの初期にサンフランシスコの劇団におり、スタンダップ・コメディアンとしてステージを踏んだのもサンフランシスコだ。生き生きと役を演じているのも、自身のホームグラウンドで演じられたからではないだろうか。

 クライマックスでデロリスは、絶体絶命の危機に陥る。映画の序盤では殺人の瞬間を見てうろたえていた彼女が、すべてを悟ったように落ち着き払っている様を見てギャングは恐れをなす。うまくいかないことを境遇や自分以外のせいにしていたデロリスが、修道院での生活を経て「目覚めた」かのように振る舞うのだ。

「神様は、いつだって迷える女性の味方です」とは日本版のキャッチコピーだけど、見事にこの映画を言い表している。

 公開30周年を迎える本作は数年前から続編の噂が上がっており、先日、ウーピーが製作の開始を告げている。作者が想定しなかったところからスタートした企画が、30年以上も続く不朽の名作になったのだ。思い通りにいかなくても、きっといいことあるさ! と思わせてくれるまさに人生の名作映画だ。


提供・日刊サイゾー

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