『天使にラブ・ソングを……』虐げられた女性の“目覚め”を描いていた!
(画像=金曜ロードショー『天使にラブ・ソングを……』日本テレビ 公式サイト、『日刊サイゾー』より引用)

 2022年も残すところ一か月。12月の日本テレビ系『金曜ロードショー』は「クリスマスに見たい映画」特集! 第一弾は1992年(日本では翌93年)に公開され全世界で大ヒット、日本でもゴスペルブームを巻き起こし、主演したウーピー・ゴールドバーグの不動のものにした傑作コメディ映画『天使にラブ・ソングを……』を放送。

『天使にラブ・ソングを……』のストーリー

 アメリカ・ネバダ州でラスベガスに次ぐ第二の観光地、リノのクラブ「ムーンライト」のステージに立つガールズ・グループのリードボーカルであるデロリス(ウーピー)は抜きんでた歌唱力を持ち、その上、ステージの演出もこなせる才女だが、クラブの客は酔っぱらっていて彼女らの歌なんか聴いちゃいない。

 彼女はリノ一帯を取り仕切るギャング、ヴィンス(ハーヴェイ・カイテル)の愛人。ヴィンスの本妻になりたいが、カトリック教徒の彼は離婚を渋っており、ステージの表と裏で不満が募る。ヴィンスから高級そうなミンクのコートをもらうが、裏地には奥さんの名前の刺繍されている。機嫌を取るのに奥さんのおさがりを渡すってどういうこと?

 ほとほと愛想を尽かしたデロリスは別れを決意するが、ヴィンスが裏切者を始末するのを目撃し、慌てて逃げ出してしまう。

 警察に駆け込むと担当刑事のサウザー警部補(ビル・ナン)から、ヴィンスを有罪にするための裁判に証人として出廷してほしいと頼まれる。裁判までの間、口封じされるのを避けるため、身分を隠してサンフランシスコの聖キャサリン修道院にシスター・メアリー・クラレンスとして匿われることに。事情を知っているのは修道院長と牧師の二人だけ。

 幼少のころ、カトリック系の学校に通っていたが、授業中「使徒12人の名前をあげなさい」と言われてビートルズメンバーの名前を出してしまうほど、反抗的な性格だったデロリスは厳格な修道院の生活になじめない。

『天使にラブ・ソングを……』の原案は、小説家、劇作家、脚本家として『アダムス・ファミリー2』などで知られるポール・ラドニック。彼は歌手であり女優のベット・ミドラーを主演にして「人殺しを目撃した歌手が修道院に匿われる」という脚本が書かれるが、ミドラーは諸事情から降板してしまう。

 その後、宙に浮いた企画にウーピー・ゴールドバーグが興味を示し、彼女を主演にして企画は再始動。しかし元々はミドラーを主役に想定して書かれた話のため、舞台をシカゴからサンフランシスコにするなど、大幅に内容を変えねばならなくなった。

 何人もの脚本家が入り修正していったことで当初の話とまったく別物になってしまったことでラドニックは、映画から離れることに。しかしラドニックが創作したキャラクターが使われているので、クレジットに名前を入れようという制作会社の案をラドニックは拒否。仕方なく偽名のジョゼフ・ハワードでクレジットすることになった。

 ちなみにデロリスのセリフを「修正」するために雇われたのは『スター・ウォーズ』のレイア姫、キャリー・フィッシャー。この映画はディズニー系列のタッチストーン・ピクチャーズ製作作品で、後に『スター・ウォーズ』の権利はディズニーに買われたから、今考えるとその後を暗示していたと言えなくもない?