すべてひとりで引き受ける覚悟はできている
その後、彼は妻に不倫などしていないと言い張ってなんとか離婚を免れたらしい。彼女はそれきり彼には会っていない。2年間の濃密な関係は、別れて1年以上たった今、急に色鮮やかによみがえってくることがある。
「婚外恋愛はそれぞれ、私の血肉になっている気がします。もちろん批判されるのはわかっている。でも本気で愛した人がいるのはいい思い出だし、私のエネルギー源でもあると思っています。もっといい男に出会いたい、もっと濃厚な恋をしたい。そんな思いは心の中から消えていないような気がします」
恋を探して歩いているわけではない。それでも気になる人が現れ、何かに突き動かされるように行動してしまうアキノさん。それ以降も夫との関係は変わらず、家庭はうまくいっているという。
「私、自分の恋愛については女友だちにも話していません。誰かに話すと恋が薄くなってしまうから」
だからたとえ傷ついてもすべてひとりで引き受ける覚悟はできている。曖昧な気持ちで恋愛しているわけじゃないんで、と言ったとき、彼女の目が妖しく光った。
<文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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