10位:ピアノ独奏による協奏曲・シャルル=ヴァランタン・アルカン
演奏者の体力の限界に挑むようなこの作品は3楽章で構成されており、1楽章だけでもなんと72ページにも及ぶ超大作!
ただ長いだけでなく、協奏曲を独奏曲で表現しているため演奏者にはピアノとその他の楽器のパートをピアノのみで表現しなければいけないという技術面・表現面ともにかなりの難易度を要求されます。
作曲者のアルカンでさえ、省略バージョンを許可しているくらい長くボリュームのある楽曲ですから、この曲に挑む演奏者はまさにアッパレの一言です。
9位:ピアノソナタ第5番・アレクサンドル・スクリャービン
技術的はことはもちろん、スクリャービンの5番は表現することが大変難しい曲です。スクリャービンの宗教観を表したこのソナタは、彼独特の和声語法でできており神秘主義の結晶でもあります。
演奏家によって解釈が違い、それぞれでかなり同じ曲とは思えないほど印象がガラリと変わる曲ですが、それだけに下手をすると聞いていられないほど音楽として成り立たなくなります。
変調も激しく、拍もコロコロと入れ替わり、スピード感のあるパートは熟練のピアニストでさえもミスタッチが出てしまう難曲です。
8位:ペトルーシュカからの3楽章・イーゴリ・ストラビンスキー
ペトルーシュカからの3楽章は、天才ピアニストアルトゥール・ルービンシュタインが「どの曲よりも難しくしてくれ」と依頼されて作られた楽曲です。もともとはバレエ音楽ですが、ピアノ用に編曲されています。
そしてこの難しくしてくれという依頼の通り、大胆な跳躍や散りばめられた不協和音、無理のある左手のトリルなどピアニストに要求される技術が高く、弾き手の体力的にもかなり消耗してしまいます。
依頼した張本人ルービンシュタインでさえ、演奏の完成度に最後まで納得していなかったのだとか。人気のある曲ですが、難曲中の難曲といって間違いないでしょう。
7位:メフィストワルツ・フランツ・リスト
作曲家でありピアニストでもあるフランツ・リストは、とても手が大きい人だったそうです。そのせいか彼の曲は男性の大きな手を想定して書かれていることが多く、オクターブ以上の音を弾かなければいけません。
特に小さな手の女性にはリストは難問だといってよいでしょう。メフィストワルツは聴いていても弾いていても大変華やかでダイナミックな曲。
テクニックを派手に見せつけるような構成になっているので、テクニックはかなり要します。さらに大胆に力強く弾かなければ恰好がつかないのでかなり体力も消耗する曲です。
6位:夜のガスパール・モーリス・ラヴェル
夜のガスパールは、バラキエフの「イスラメイ」の難易度を超える曲を!ということで作曲された超難易度の曲です。
アロイジウス・ベルトランの詩に触発されて書かれた曲ですが、詩の世界観を体現するかのような複雑で奇怪な音の跳躍や不協和音はラヴェルの印象派主義を顕著に表したもの。
特に第3曲の「スカルボ」は高速で指使いも激しいのですが、詩を表現した曲ですからテクニカルだけでは済まされないところが弾き手にとって大きな壁となって立ちはだかります。