夫の何気ない一言で幸せな家庭が崩壊
「でもアレだね。こんなに美味しかったら毎食コンビニで良いかもね」と透さんは冗談交じりを言いました。しかし、その一言がヘビーだった……。 「結婚する前からしていた努力を否定された気持ちになりました。それに、やっぱり、美味しくなかったんだ……無理をして食べてもらっていたんだ……と思いました」 と洋子さんは当時の心境を語ります。それまで和やかだった食卓の空気が一変して、重苦しいものに。洋子さんは悔しさと情けなさから涙が止まらなくなってしまったそうです。
理想と現実のギャップに苦しむ
「自分が気にしすぎだということは分かってますが、それからは、透さんの一言を思い出して、日中に涙が止まらなくなってしまうことが増えました」 事件のあった晩以降、普通の生活に戻ったかのように見えましたが、洋子さんの心は元通りにはなりませんでした。親しい友人にも相談しましたが、「気にしすぎだって」と一蹴されてしまったそうです。心療内科にも通い、治療を試みますが、状態は良くならなかったそう。 夫のたった一言で? 洋子さんもたぶん夫を責めたいわけではなく、根深い自己否定の感情が溢れ出してしまったようなのです。 「思い描いていた理想の良い奥さんになれなかった、ということが一番の原因なんだと思います。いくら料理の腕を上げようと思って努力をしても、味覚が一般の人とズレている私はいつまで経っても普通にはならないんです」