2021年10月、突如「故郷のジャガー星に帰還した」と発表した千葉の英雄・JAGUAR(ジャガー)さん。「帰還」以前に書かれた自伝『ジャガー自伝 みんな元気かぁ~~い?』(イースト・プレス刊)が12月19日発売となりました。
今まで謎に包まれていたジャガーさんの素性が赤裸々に語られ、千葉県民のみならず全国のファンたちの間でも大きな反響を呼んでいます。
24歳で起業し、一代で財を成した実業家
ジャガーさんは、JAGUAR星出身(「帰還」前は市川市在住)のローカルミュージシャン。1985年「HELLO JAGUAR」という5分間番組を自ら制作し、千葉テレビで9年間にわたって放映。地元の若者たちの間でカルト的な流行となりました。見た目はド派手だけど、親しみやすいキャラクターで一躍人気者となり、様々なメディアで謎のヘビメタおじさんとして紹介されるようになります。
しかし、その正体は「村上グループ」と呼ばれる洋裁チェーンの社長。24歳で起業し、一代で財を成した実業家です。
自伝の「前口上」では<HELLO JAGUARで~~す!!!! ミンナァゲンキカァ~~イ!?!?>(本文より/以下、<>内同)というテンションの文章が4ページにわたって続きます。やべえ本を買ってしまったかもしれないと、些(いささ)か後悔しているところに、突然始まる「第一章 東京大空襲」。
1歳の頃、東京大空襲に遭遇して火だるまに
映画『翔んで埼玉』では「伝説の千葉県人エンペラー千葉」としても登場した/DVD「翔んで埼玉 通常版」(TOEI COMPANY,LTD.)
<その日は春先にもかかわらず、冬の空っ風が強く吹く夜だった。2400kmの彼方にあるアリアナ諸島から、この天気になる日を待ちわびていたアメリカ軍の爆撃機B-29が爆音を立てて東京に飛来する。その数、325機。>
テンションの落差がすごい。第一章では、“地球での仮の姿”1歳の頃、東京大空襲に遭遇したエピソードが語られます。1歳のジャガーさんは炎に巻き込まれて一時は火だるまになるも両親に助けられ、命からがら家族で千葉へ疎開したといいます。
「もちろん自分自身で覚えている記憶ではない。後年、両親や姉から聞かされた話だ」としながらも、空襲の描写は絵として目に浮かぶほど臨場感にあふれ、ジャガーさんの文章の鮮やかさが際立ちます。