子どもの頃からクリエイティビティ全開
子どもの頃から工作が好きで、高校生の時には自動車を自作(!)。美術部で油絵を描き、妹や姉の服を作ってプレゼントするなど、その頃からすでにクリエイティビティ全開だったようです。ちなみに、木更津高校での成績は400人中1位。先生に東大受験を勧められるほどの秀才だったとか。
高校を卒業したジャガーさんは、お金を貯めて洋裁店「洋服直し村上」を開業。順調に店舗を増やし、美容院、喫茶店、看板工場、ライブハウスなども経営して事業を拡大していきます。
実業家の自伝でもあるのに、お金の話はほとんど出てきません。大好きな創作活動や周囲の人たちの話を楽しそうにいきいきと綴っていて、ジャガーさんのおおらかさや人柄の良さがうかがえます。
「ジャガーの“設定”はほとんどみうらさんが作った」?!
本書には、喫茶店のお客だったサエキけんぞう、看板工場で働いていたX JAPANのhide、中学生なのに面接にやってきた氣志團の綾小路翔など、千葉に縁のあるミュージシャンの名前がたくさん出てくるのも、千葉の英雄ならでは。
また、<何もない状態からロックスターへと上り詰めた矢沢永吉の『成り上がり』にかけて、ジャガーを『上がり成り』と名づけたその人>こと、盟友・みうらじゅんとのエピソードはどれもいい話ばかり。
バブル崩壊後、音楽活動の引退を決意したジャガーさんに、みうらじゅんが「JAGUER星人であることはやめられないですから」と電話で励まし、番組に呼んで引き留めようとしてくれたというエピソードからも、ジャガーさんがいかに愛されていたかがわかります。
<ジャガーの“設定”はほとんどみうらさんが作ったようなもの>とぶっちゃけた直後に、<いや、みうらさんによって失われし記憶が蘇ったというほうが正しいかもしれない>とすかさずフォローを入れるジャガーさん。可愛げの塊のような人!
終戦直後から令和にかけての77年間、千葉県を愛し、そして千葉県に愛され続けた1人の天才の自伝。読めば、千葉県民でなくても必ずジャガーさんのことを好きになってしまうはずです。 <文/藍川じゅん>
藍川じゅん
80年生。フリーライター。ハンドルネームは永田王。著作に『女の性欲解消日記』(eロマンス新書)など。
提供・女子SPA!
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