◆メンタル不調の症状3つの段階って?
――メンタル不調になると、どのような症状がでるのでしょうか?
振本「メンタル不調には3つの段階があり、それぞれ症状が変化します。まず第一段階として胃痛や食欲不振、不眠、下痢、頭痛などの『身体症状』が出ます。そして第二段階で『行動の変化』があらわれます。これはストレスに対する反応としてたばこやお酒などの嗜好品をとる量が増加し、遅刻・欠勤、身だしなみの乱れが現れます。
さらに行動の変化として顕著なのが仕事での凡ミスです。ストレス反応で脳が疲弊していると、もともとできていたことができなくなります。できていたものができなくなった時は注意が必要です」
――段階を踏んで症状が出るんですね。
振本「はい。これらの段階を経て最後に現れるのが、不安・イライラ・怒り・悲しみ・無気力・集中力低下などの『精神症状』です。特に良くないのは憂鬱感、抑うつ感、眠れないといった症状で、このような症状が2週間以上続く場合は病院で受診してくださいとお伝えしています。精神症状は最後の段階で体に出るものなので、この前の段階で不調に気づいて相談・ケアすることが大事です」
――忙しいと自分のメンタル不調に気付くのはなかなか難しいです。
振本「そうですよね。特に女性の場合、育児や家族のことを優先して自分のことはつい後回しにしているという方が多いようです。そのため自分の不調に気づくのが遅くなる傾向にあります。体調管理で大事なことは自分で自分を大事にすることだと意識して、『いつもと違うな』という違和感に気付くようにしてください」
◆ストレスが多いと免疫もダウン。感染症リスクだけでなく新型コロナ後遺症のリスクも
忙しいとついつい後回しになりがちな自分のケア。深刻な症状が出る前に、自分のメンタル不調に気付いて対策することが大事です。
感染症が気になるこの頃のメンタル不調は、思わぬ危険もあります。南カリフォルニア大学ジェロントロジー学部のエリック・クロパックの研究によれば、ストレスと免疫の老化の加速は関連しており、ストレスを多く受けている人は、免疫系が弱くなるとのことです。(※1)
加えて、ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院の研究グループは、新型コロナウイルス感染前に抑うつ・不安症状などのメンタルヘルスの不調などがあった患者は、不調がなかった患者に比べて後遺症に伴う日常生活障害のリスクが高くなったと発表しています。(※2)