年上とのコミュニケーションは「相手を怖がらないことが大切」
若手ビジネスパーソンにとって、上司をはじめ、年上の人を相手にするコミュニケーションは悩みの種です。川瀬さんは、「まずは相手を怖がらないことが大切です」と助言します。
川瀬さん:“偉い人”向けのコミュニケーションをしようとするのではなく、相手を観察した上で、その人向けのコミュニケーションの方法を模索していけばいいんです。年上の人は基本的に後輩をおおらかに受け止めようとしています。勇気を出して最初のボールを投げてみれば、意外と相手も投げ返してくれるものですよ。“上司”や“取引先”など、相手を属性で捉えて萎縮するのではなく、ひとりの人間として捉えて臨機応変にコミュニケーションの方法を変えるということです。そうするために重要なのが、“雑談力”です。
川瀬さんは、「ひとつ答えを聞いたら安心してしまう人は、雑談が苦手かもしれませんね」と指摘します。「お休みの日は何をしていますか?」という質問への「読書や映画鑑賞です」という答えに対して、「そうですか」で終わってしまうと会話は広がりません。相手が返してくれたボールをまた投げ返そうとする意識が、心地いい雑談を生むのだと説明してくれました。
川瀬さん:会話が広がる質問をできるようになるためには、相手に興味関心を持つこと、相手を好きになろうとすることが大切です。優等生的な話に聞こえるかもしれませんが、“雑談力”は訓練すれば伸びるもの。話し方教室では、受講生たちが「長期休暇の過ごし方」といったテーマで自由に語り合う「世間話を楽しもう」というレッスンも設けています。
最後に川瀬さんは、「好印象を与える話し方において大切なのは、要するに『相手のために話せているか?』という意識です」と説明します。
川瀬さん:お話が苦手な方は、だいたい『自分がどうしゃべるか』で頭がいっぱいになってしまっているのですが、声や言葉は相手に伝えるためのもの。声と言葉、話す上での考え方で、どうやって相手のためにベストを尽くすか?こうした自分への問いかけを忘れなければ大丈夫です。
上等なスーツやバッグを買い求めるよりも……
作家の向田邦子は、「『言葉のお洒落』は最高のアクセサリーでありファッションであり、一生使えるお得な『品』である」とエッセイにつづりました。上等なスーツやバッグで身だしなみを整えるだけではなく、話し方のスキルをアップすることも、デキるビジネスパーソンへの近道なのかもしれませんね。
【川瀬眞由美 プロフィール】
1985年、テレビ朝日に入社。「ANNニュース」や「スーパーJチャンネル」など報道番組を中心に担当。2006年に「テレビ朝日アスク」初代校長に就任し、2008年まで務めた。現在は「テレビ朝日アスク」の取締役として事業を統括するとともに、講師として後進の指導に当たっている。
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