ズボンの裾の長さや洋服の袖の長さを詰めるには、手縫いのやり方だけでも様々な長さの調整方法があります。裾上げの方法には手縫いの他に、ミシンやテープを使ったやり方もあります。今回は初心者にも簡単なズボンの裾上げのやり方をご紹介します。
手縫いでズボンを裾上げする方法は?
手縫いでズボンを裾上げしたことがない方は、自分で裾上げするのは難しいと思われるかもしれません。しかし、手縫いでズボンの裾上げをするのは意外にも簡単です。ズボンの裾上げが自分でできれば、裾に長さがあるズボンでも簡単に長さを調整することができます。
ズボンの裾上げは裾にしたい部分まで布を折って針と糸で縫い進めるだけです。またズボンの裾上げのやり方は、袖の長いトップスなどの袖を詰める方法にも応用できます。今回は自分でできるズボンの裾上げのやり方についてご紹介します。
手縫いでズボンを裾上げするのに必要なものは?
ズボンの裾上げや洋服の袖を詰めるのに必要なものはソーイングセットだけです。通常のソーイングセットであれば糸・ハサミ・クッションが入っているので、それだけで裾上げができます。裾を切らない場合は必要ありませんが、裾をカットする場合は裁ちばさみも必要になります。
手縫いをするときの針はデニムなどの分厚い生地でも通せる強度の高い針を選ぶようにしてください。一本の針を使い続けると針が折れやすくなるため、スペアの針も購入しておきます。
裾上げするときの糸はなるべく太めの糸の方が裾上げの強度が高くなりますが、スラックスなどのズボンを太い糸で裾上げすると縫い目が見えやすくなるため、ズボンの素材に応じて糸の太さを使い分けるようにしてください。
ズボンを短時間で裾上げしたい場合、ミシンがあれば、ミシンでも裾上げをすることができます。
また手芸店では裾上げに使える裾上げテープや布用接着剤が販売されているので、布を切らないで簡単に裾上げすることができます。
手縫いでズボンを裾上げするメリットは?
ズボンの裾上げや袖直しをお店で頼むと、大体は1000円以上かかります。お気に入りのズボンや洋服であれば1000円以上払ってもプロに手直ししてもらうのがおすすめですが、買い替えの多いお子様のズボンや普段着で裾上げを頼むには高い出費となってしまいます。
自分で裾上げができるようになれば、お子様のズボンは大きめのものを買っておき、裾上げして成長するごとに長さを調整することも可能です。そこで、自分でできる簡単な裾上げ・袖直しの方法についてご説明します。
手縫いでズボンの裾上げする前の準備は?
手縫いでズボンの裾上げする前の準備は、裾上げするズボンや袖を詰める洋服の袖の長さをしっかり調整しておくことです。
長さの調整を適当にしておくと、裾上げや洋服の袖を直した後に、自分の足や腕の長さに綺麗に合わないことがあります。そうなると、手縫いした部分をほどいて最初からやり直すことになってしまうので、裾や袖の長さは手縫いする前にしっかり調整しておきます。
手縫いでズボンの裾上げするときの裾の調整方法
ズボンの裾や洋服の袖の長さの調整のやり方は、実際に調整したいズボンや洋服を着て、裾や袖を好きな長さに折るようにすると、自分の体に合いやすくなります。
折った部分の長さがずれないように待ち針や安全ピンで留めておくと、ズボンや洋服を脱ぐときに調整した部分がずれにくくなります。
ズボンや洋服の裾、袖を切るときは、両足、両腕を揃えて折り目の方から3cmの縫い代を残して裾を切ります。
手縫いでズボンを裾上げするときの長さの目安は?
カジュアルなシーンで履くズボンの裾の長さの目安は、地面と裾が約1cmほどの距離になります。目安にすると、かかと部分に裾が来るように調整して裾上げするようにします。
スラックスなどのズボンは裾が長いとだらしない雰囲気になるので、地面と裾が約1.5cm~2.0cmほどの距離にします。スーツと合わせるスラックスは、カジュアルなズボンよりも若干短めに調整します。
手縫いでズボンの裾上げをする方法
手縫いでズボンの裾上げをする方法には並み縫い・返し縫い・まつり縫い・たてまつり縫いなどの方法があります。手縫いの方法によって裾上げの仕上がりの見た目が変わるので、お好みのやり方を選んで裾上げにチャレンジしてみてください。
スラックスなど薄手の生地であれば布を切らないで裾上げできますが、手縫いでデニムなどの分厚い生地を裾上げする場合は、裾をカットしてから裾上げする方が簡単に縫いやすくなります。
また、スラックスなど薄手の生地でも裾上げしたい長さが長い場合は、裾をカットしてから裾上げするのがおすすめです。裾上げしたい部分が長いのに裾を切らないと、ズボンを履いたときに裾上げした部分の線が見えやすくなったり、裾がダボついて不格好な見栄えになりやすいので、切らないよりもカットする方がおすすめです。
手縫いでズボンの裾上げ:並み縫い
並み縫いは裾上げの最も一般的なやり方です。並み縫いは、裾部分をまっすぐに縫うシンプルな裾上げのやり方で、自由に縫い幅を変えられるため、初心者の人にも縫いやすいやり方です。
並み縫いのやり方は、裾や袖を切る場合はあらかじめ裁ちばさみで切っておきます。切らない場合はズボンや洋服を裏返し、裾や袖にしたい部分まで布を折ります。折った布の表側から針を刺し、糸を通します。表側から刺した針の3mmほど横に針を出してきます。この作業を繰り返すと並み縫いになります。
並み縫いはまっすぐにズボンの裾や洋服の袖を縫うだけの簡単なやり方ですが、縫い幅を広げると強度が落ちやすくなるため、縫い幅は3mmほどまでがおすすめです。並み縫いで縫い幅を1cmほどにし、ズボンの裾を糸で縛るようにきつく縫うと、ズボンの裾を狭くするやり方もあります。
手縫いでズボンの裾上げ:返し縫い
返し縫いは、並み縫いの途中で一回ずつ糸を元の場所に戻して縫い進めるやり方です。返し縫いするとミシンで縫うやり方と同じ強度の仕上がりの裾上げになります。返し縫いは簡単ですが、手間と時間がかかりますが、その分裾上げの強度が上がるやり方です。
返し縫いのやり方は、裾や袖を切る場合はあらかじめ裁ちばさみで切っておきます。切らない場合はズボンや洋服を裏返し、裾や袖にしたい部分までズボンの裾や洋服の袖を折ります。折った布の表側から針を刺し、糸を通します。表側から刺した針の3mmほど横に針を出してきます。
裏側から出してきた針を、最初に表側から針を刺してきた部分に刺します。刺した針を最初に裏側から針を出した部分に刺します。この作業を繰り返すと返し縫いになります。
返し縫いは一回一回針を元の位置に戻しながら縫い進めるので、縫い忘れがないように縫い目を確認しながら縫うことが大切です。デニムなどの分厚い生地を返し縫いする場合は針が折れることもあるので、デニムを縫う場合はなるべく太い針を使うようにしてください。
手縫いでズボンの裾上げ:まつり縫い
手縫いでズボンの裾上げをする方法には、まつり縫いというやり方が一般的です。まつり縫いは、縫い目が表に見えない裾上げのやり方になります。まつり縫いのやり方に慣れれば、ズボンを早く簡単に裾上げすることができます。
まつり縫いのやり方は、裾や袖を切る場合はあらかじめ裁ちばさみで切っておきます。切らない場合はズボンや洋服を裏返し、裾や袖にしたい部分までズボンの裾や洋服の袖を折ります。折った布の裏側から針を刺し、糸を通します。
針を刺した部分から、5mmほど先の斜め上のズボンや洋服の表布に針を刺します。刺した針を折った布の裏側に出してきます。この作業を繰り返していくとまつり縫いになります。
まつり縫いのコツは、できるだけズボンの表に布を見せないことです。糸は長めに取っておき、1本の糸で仕上げることで綺麗にまつり縫いすることができます。
また、まつり縫いの縫い幅を均等にすることで見た目がきれいになります。縫い幅を広くすると裾上げがほどけやすく、縫い幅を狭くするほど、強度が上がって行きます。まつり縫いの縫い幅は最大でも2cm程度がおすすめです。
手縫いでズボンの裾上げ:たてまつり縫い
まつり縫いのやり方にはたてまつり縫いという方法もあります。基本的なやり方はまつり縫いと同じですが、ズボンの裏面の縫い目が立向きになるのが特徴です。まつり縫いとたてまつり縫いは、表面の仕上がりは同じなため、自分で縫いやすいやり方を選んでください。
たてまつり縫いのやり方は、裾や袖を切る場合はあらかじめ裁ちばさみで切っておきます。切らない場合はズボンや洋服を裏返し、裾や袖にしたい部分までズボンの裾や洋服の袖を折ります。折った布の裏側から針を刺し、糸を通します。
針を刺した部分から、すぐ上のズボンや洋服の表布に針を刺します。刺した針を折った布の裏側に出してきます。この作業を繰り返していくとたてまつり縫いになります。
たてまつり縫いは垂直方向に糸を通すため、まつり縫いよりも縫い幅が狭くなります。そのため、たてまつり縫いは、まつり縫いよりも強度を高くして裾上げしたいときにおすすめのやり方です。