自動車ローンの返済額が過去最高

また、自動車ローンの積み上がりも消費の先行きに暗い影を落としている。

エクスペリアンによると、2017年10~12月期の新規自動車ローンの支払い額は月額515ドルと前年比8ドル増えて過去最高を更新した。既存の返済額も前年同期比8ドル増えて月額371ドルとなり、こちらも過去最大となっている。

支払いが増えている背景には金利の上昇がある。新車のローン金利は5.11%と前年より37bps上昇、中古車は8.84%と同30bps上昇している。なお、新車のローン金利のほうが低いのは購入者のクレジットスコアが高いからであり、新車だから低いわけではない。

新車購入でのローン金額は平均で3万1099ドルと前年比509ドル上昇、中古車も平均1万9589ドルで317ドル上昇している。金利上昇に加え、購入価格そのものが上昇していることも消費者に負担を与えていると考えられる。

ちなみに、価格や金利の上昇に対する「苦肉の策」なのか、ローン期間が長期化する傾向にある。新規ローンの返済期間は平均で69カ月と1年前と比べて0.5カ月分長期化しているほか、信用の低い層に限ると72カ月を超えている。

ひと昔前であれば、自動車ローンは5年が主流であったが、今では7年や8年のローンも珍しくはなくなった。最近では8年以上のローンも増えている。

2017年の米新車販売は8年ぶりに前年を下回ったが、2018年に入っても苦戦が続いている。2月の新車販売は前年同月比2.4%減であり、回復の見通しが立たない情勢だ。

新車販売の苦戦は氷山の一角であり、消費全体が低迷する危険性を示唆しているのかもしれない。

「生活防衛的」な消費態度が浮き彫りに

米家計はこれまで、貯蓄率の低下と借入れの拡大で「所得を上回る消費」を続けてきたが、クレジットカードの利用減少や自動車販売の不振などを考え合わせると、こうした消費行動に曲がり角が訪れていると考えられる。

1月の米個人消費は前月比0.2%増と12月の0.4%増から鈍化し、昨年8月以来の低い伸びとなった。また、実質では0.1%減少と昨年1月以来のマイナスである。一方、1月の個人所得は前月比0.4%増と高い伸びを維持したものの、同時に貯蓄率も3.2%と12月の2.5%から大きく上昇している。

つまり、所得が伸びても、消費を切り詰め、貯蓄を増やすという「生活防衛的」な消費態度を浮き彫りにしているのが現在の状況なのだ。これは債務が膨らみ過ぎたことから、借金の返済を優先させ始めたと言い換えることもできる。

GDPの約7割を占める個人消費は昨年10~12月期に3.8%増と高い伸びで成長をけん引していた。これは、10~12月期の消費者信用残高の高い伸びとも符号しており、消費者信用残高の鈍化はそのまま個人消費の失速を招く恐れがある。

米貿易赤字の拡大で成長率が押し下げられる公算が大きい中で、1月は耐久財受注や鉱工業生産もマイナスとなっている。ウォール街では個人消費の減速と合わせて「1~3月期のGDP成長率が想定外の低い伸びにとどまるのではないか」と懸念する声も出始めており、米株価の先行きにも暗い影を落としている。

文・スーザン・グリーン(NY在住ジャーナリスト)/ZUU online

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