妻のチナツさんとは、会社の同僚としてつきあっているうち、酔ってホテルに行ったら妊娠という流れで結婚した。もちろんチナツさんに好意はもっていたが、恋とは違うとトシアキさんは真顔になる。

「トモミちゃんへの気持ちは、小学校のころ同級生にドキドキしたのと同じ。しかももっと心の深いところから彼女を求めていたんだと思う。でもふたりとも既婚で子どもがいますからね、不用意なことはできないと自分で自分を抑え込んでいました」

W不倫で駆け落ちした男の告白「保育園のママ友に恋をした」苦い結末
(画像=『女子SPA!』より引用)

だがあるとき、近所でばったり会ったトモミさんの顔に痣(あざ)があるのを、トシアキさんは見逃さなかった。どうしたのと聞いたら、彼女は目を潤ませて「夫に殴られた」と言った。トシアキさんは頭にカッと血が上るのを感じたそうだ。

「僕が話をしにいくと言ったら、彼女はやめてほしい、夫がもっと怒るからと。かわいそうで、僕が救い出さなければと思うようになりました」

駆け落ちするしかない

そのころ妻のチナツさんは出張が多くなっていた。トシアキさんとトモミさんの距離が一気に縮んだ。3年前の夏休み明けの土曜日、ふたりはついに関係をもった。その日はトシアキさんの妻が出張中、娘は前の夜からトシアキさんの母の家に遊びに行っていた。

「誰にも見られないよう、トモミちゃんは未明の4時前にうちに来ました。彼女の夫は前日から泊まりがけでゴルフに行っている。たまたま彼女の妹が来ているので、万が一何かあっても大丈夫だと。すべての条件が揃ってやっとひとつになれた。そんな気がしました。

彼女とひとつになっているときは、あまりにうれしくて幸せで何も考えられなかった。彼女は涙を流しながら、『次はいつこうして会えるかわからないわね』と。僕もそう思いました」

いっそふたりでどこかに逃げようか。彼のその一言に、トモミさんの目が輝いた。そんなことができたら、人生やり直せるのに、あなたとふたりで。トモミさんはそう言った。

「その日から僕の中では駆け落ちするしかないという思いが強くなっていきました。かわいがって育ててきた娘も、もう今後は僕より友だちのほうを選ぶようになる。チナツは仕事に夢中だし、僕を必要とはしていないように見える。初めて恋をした人と一緒になって、どこかで静かに暮らしたい。一度そう思うと、どんどん気持ちが傾いていきました」