次の持ち込み先としてIさんが見つけてきたのは、G社でした。私もはじめて知る出版社でしたが、Iさんからいただいた情報を見ると、いろいろと興味深い本を出版されています。学術書がメインのようですが、美術系の本も手がけているそうです。
社長さんの自伝も同社から刊行されていて、キャラの立ったおもしろい方のようです。小規模出版社で社長さんのカラーが前面に出ている場合、その方の興味関心と重なるかどうかで決まる場合が多いでしょう。規模が小さくても編集会議で全員賛成でないと企画が通らないところもありますが、G社は社長さんの意見が強いように見受けられました。こういう場合、その出版社が手がけたことのない分野でも、社長さんの判断で企画が通ることがあります。
それにしても、G社を見つけてくるIさんのリサーチ能力に感心します。リサーチだけではなく、アプローチも迅速です。ホームページで(翻訳書ではありませんが)原稿募集と明記されているのを確認すると、G社の関連書籍に目を通し、企画書をアップデートして早速応募したのです。
すぐにお返事があり、残念ながらお断りだったのですが、気になった出版社に応募できて、Iさんはすっきりされたようです。
持ち込みまでのプロセスが格段にスピードアップされただけでなく、お断りの場合の受け止め方もタフになり、すぐ次に向かえるようになりました。しかも、お断りとはいえG社から別のご依頼があったそうで、ご縁もちゃんとつながっているのです。ロールプレイングゲームのように、出版できた際に応援してもらえる態勢が着々と整いつつあります。
Iさんの進化は、それだけではありません。次に選んだH社にアプローチする際には、イベントに足を運びました。会場となる書店でH社のフェアが開催されているので、編集者さんも参加されているかもしれないと考えてのことです。実際に参加されていたので、Iさんはご挨拶をして、その場で企画書もお渡ししたのです!
ご報告をいただいて、びっくりしました。F社の時には名刺交換すら遠慮していたIさんが、自ら企画書を手渡すようになっているのですから……!