すべてのご縁がつながっていくかのような、IさんのF社へのアプローチ。期待が高まったところに、編集者さんのお返事が届きます。

結果は……お断りでした。

原書で取り上げられているアーティストも興味深く、本としてもよくできていると評価していただけたものの、日本での知名度がネックになってしまいました。これから大規模な個展などが予定されていればともかく、F社の宣伝・広告力では本書や人物の魅力を読者に伝えていくのは難しいとのことでした。

さらに、F社のような人文書主体の出版社よりも、美術書専門の出版社のほうが可能性があるのでは、とのアドバイスも……。

お断りは残念でしたが、こんなアドバイスを添えてくれるところやメールの文章に、編集者さんの誠実なお人柄と作品に向き合う真摯な姿勢を感じました。短いメールでも、ちょっとした言葉遣いや対応で、人となりは伝わるものですね。素敵な編集者さんだな、とひそかにファンになりました。

Iさんにお伝えすると、ブックフェアでお会いした際の誠実な印象そのままで、Iさんもファンになったとのこと。実は、この編集者さんが手がけた作品を読んだ時、Iさんの選んだ原書とイメージが重なる部分があったそうです。それもF社を選んだひとつの理由で、編集者さんとはご縁があるように感じていたというのです。