ワインの価値を左右する3つの要因

それでは、実物資産であるワインの価値は何によって決められるのでしょうか。大きく言うと、

  1. ヴィンテージ(生産年)
  2. 生産者・ブランド
  3. 保存状態 この3つが価値を左右します。

    【ヴィンテージ(生産年)】

    ワインの原料であるぶどうの収穫は1年に一度。生産量や味は、その年の天候などによって大きく左右されます。

    いわゆる「当たり年」と呼ばれるヴィンテージのワインは長期熟成にも向いているため、投資向きのワインとなります。

    なお、当たり年は地域によって異なるため、地域ごとのヴィンテージのランクをまとめた情報も公開されています。

    【生産者・ブランド】

    ワイン愛好家に人気のある生産者や、ボルドーの1級ワインなどの格付けものは、特に価値が高くなる傾向にあります。

    【保存状態】

    ワインは非常にデリケートです。振動と光が遮断でき、においの影響がなく、適切な温度と湿度で管理することが求められます。保管状態が悪ければ味に影響が出ますし、保管温度が高過ぎると膨張し、吹きこぼれが起こってしまいます。

    このような保管上の失敗は大幅に価値を下げる要因となるため、細心の注意を払わなければなりません。投資目的であれば、自宅のワインセラーで保管するのは避け、業者による専用の倉庫や地下セラーなどを使用しましょう。

    (写真=FreeProd33/Shutterstock.com)

ワイン投資の歴史

ヨーロッパの人々の暮らしに、ワインは昔から欠かせないものでした。飲酒用としてはもちろんですが、貴族や富豪を中心に、古くから投資の対象でもありました。

フランスでは銀行融資の担保として扱われたり、年金運用や相続税対策に活用されるなど、ワインはさまざまなシーンで活躍しています。ヨーロッパの国々にとってワインはれっきとした資産の一つなのです。

1990年代ごろからは、アメリカや中国、日本などでも、投資目的でワインを利用する動きが活発化しています。

ワイン投資で取り引きされるワインの例

一般に投資用ワインとして取り引きされているのは、フランスのボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュなどの銘柄です。最近では、ドイツの貴腐ワインやアメリカ、カリフォルニア産の高級ワインも注目されています。

特に、5大シャトーと呼ばれるボルドーの1級ワインや、有名生産者が製造するワインはブランド価値が非常に高く、投資用としても人気があります。

日本でも人気の高額ワインを2つ紹介しましょう。

高級ワインの代名詞「ロマネ・コンティ」

日本でも非常に有名な「ロマネ・コンティ」も、高値で取り引きされる高級ワインの代表格です。

2017年現在は、名実ともに高額ワイン世界一。2016年から2年続けて、世界で最も高額なワインとしてランキングされています。平均取引価格は約165万円とか。

2011年には、スイスの高級ワインオークションで1945年もののロマネ・コンティが約1000万円で落札されたというニュースもありました。そこまでいくと、1滴いくらになることか……。恐ろしくて、飲むにも飲めませんね。

神の手を持つ醸造家・ジャイエ氏のワイン

「ブルゴーニュの神様」とまで呼ばれた醸造家、アンリ・ジャイエ氏が特級畑から造った赤ワイン「リシュブール」は、2015年まで5年間、世界の高額ワインランキングで1位を独占していました。

1985年ものの平均取引価格は、なんと約190万円!

アンリ・ジャイエ氏はもともと、非常に評価が高く人気のあった醸造家ですが、2006年に死去されてからは、もう二度と手に入らないとして価値が高騰したようです。

2016年以降はワイン高額ランキングから名前が消えていますが、日本では現在でも非常に人気の高い銘柄です。