1匹の母猫を放置すると1年後には50匹ほどに増えると言われており、最近では不妊手術を選ぶ飼い主さんが増えています。
しかし、手術にはメリットもある一方で小さな体にメスを入れるリスクなど、気になる点も多いでしょう。

今回は、不妊手術の中でもオス猫の「去勢手術」について、そのメリットや手術の流れなどをご紹介します。

1.猫の去勢手術とは

猫の去勢手術とは、精巣を摘出する外科手術です。
全身麻酔をかけてから精巣付近の皮膚を切開し、精巣を取り出すシンプルなもの。
お腹を切開しないので、メス猫の避妊手術と比べると体への負担は少ないと言えるでしょう。

2.猫の去勢の必要性

【獣医師監修】猫は去勢手術をするべき?時期や費用・助成金について
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

「動物の愛護及び管理に関する法律」第37条 において、適正飼養が困難な犬猫の繁殖防止が義務化されているのをご存知でしょうか。
猫は一回の出産で複数匹の子猫が生まれます。生まれてくる大切な命のためにも、不用意な繁殖を防ぐことを目的とした去勢手術の必要性は高いと言えるでしょう。

3.猫の去勢によるメリット

メリット1.スプレー行動の改善

部屋のあらゆるところにおしっこをかける「スプレー行動(マーキング)」は、発情期に盛んになることが多いため、適切な時期に去勢をすることによって改善されることがあります。

メリット2.おしっこのにおいの改善

オス猫のおしっこはメス猫に比べるとにおいが強いものですが、去勢手術をすることによってそのにおいは和らぎ、メス猫と同程度になると言われています。

メリット3.性格が温和になる

生後半年ほどの早期のタイミングで去勢手術を済ませると、性格面での攻撃性が緩和されるケースも。怒りっぽかったり、周囲のネコとのケンカが多い猫でも、そのようなトラブルが減ることがあります。

メリット4.ストレス軽減

成熟すると攻撃性や交尾衝動が強くなり、その欲求が満たされないと大きなストレスになってしまいますが、去勢手術によってこうしたストレスが軽減できます。

メリット5.望まない妊娠を防止

前述にもあるように、猫は一回の出産で複数の子猫が生まれてきます。飼育環境が適切に整わない限り、不用意な妊娠を防ぐことが、結果として大切な命を守ることへとつながります。

メリット6.病気の予防

精巣を取るので精巣腫瘍を予防でき、前立腺の病気の発生率を低下させることができます。また、オス猫同士のケンカが少なくなるため、感染症のリスクも減らすことができます。

4.猫の去勢によるデメリット

デメリット1.太りやすくなる

ホルモンバランスの影響で食欲が増え、運動量も減るため、手術前と同じ食事量をとっていると太ってしまいます。獣医師と相談しながら、低カロリーのフードや運動量の調整で適切な体重管理を心がけましょう。

デメリット2.繁殖できなくなる

当然ですが、一度去勢手術をすると、その猫の血を引いた子猫を迎え入れることはできません。未来に望む家族の姿や飼育環境についてしっかりと考えたうえで、判断することをおすすめします。

デメリット3.手術をきっかけに体調を崩してしまうケースも

麻酔や手術そのものが体へ悪影響を及ぼすことはほとんどありませんが、家族以外の人や動物病院に慣れていない猫は、長時間病院で過ごしたり手術を経験すること自体が負担になり、自宅に帰ってから調子を崩してしまうことがあります。
また、自宅で術後の傷口を舐めてしまい、感染症を起こしてしまうケースもゼロではないため、自宅に帰ってからの注意や観察は必要です。

5.猫の去勢は生後いつからできる?

【獣医師監修】猫は去勢手術をするべき?時期や費用・助成金について
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

性成熟が始まる前の生後6ヶ月頃に去勢手術をするのが一般的です。
予防接種が終わっていること、ダニ・ノミ・寄生虫の駆除が終わっていることを条件とする動物病院が多いため、それらも含めたトータル的な計画として、かかりつけの獣医師と相談しておくのが良いでしょう。

ちなみに、保護施設などでは生後2〜4ヶ月といった早期に去勢手術を行い里親に渡すケースもありますが、健康上の大きな危険性はないとされています。