バフェットは何を考えて投資をしているのか?
ではバフェット氏は、何を考え、何を優先して投資をしているのでしょうか。
超長期投資スタイル「株式の保有期間は永遠」
バフェット氏の格言のなかに「株式の保有期間は永遠」という言葉があります。まさに長期投資の真髄をコンパクトに表現した名言ですが、「1年だけ15%の利益を得るよりも、毎年12%の利益を上げるほうがよい」という趣旨の発言もしています。
1年だけをみれば15%の利益を上げるほうが大きいですが、少しパーセンテージは下がっても毎年コンスタントに12%の利益を上げ続けるほうが、結果的には大きな資産形成につながるのです。
バフェット氏がバークシャー・ハサウェイを通してコカ・コーラ株への投資を開始したのが1988年でした。その後の買い増しで発行済み株式の9.3%にあたる4億株(CNBC調べ、2020年6月30日現在)を取得し、同銘柄のみで巨万の富を築いています。目先の材料株に投資するよりも、将来に渡って利益をもたらしてくれる優良株を、割安と思える価格で取得することの大切さを教えてくれる投資例といえるでしょう。
株価ではなく企業の価値に目を向ける
長期投資で資産を築く大事なポイントは、優良企業を「本質的な価値よりも安く買う」ことです。実はバフェット氏が投資したコカ・コーラも1988年当時、株価指標は割安な状態で放置されていました。
PER(株価収益率)で12~16倍という水準です。当時のコカ・コーラは成長企業として勢いがあったことから、バフェット氏の目には魅力的な投資対象に映ったのでしょう。結局バフェット氏の投資は大当たりし、株価は1988年の5ドルから10ドル(1989年)、20ドル(1991年)、40ドル(1995年)と倍々で伸びていきました。
バフェット氏は1988年だけでなく、1989年、1994年と高値を更新し続けるなかで買い増しを続けました。もし、株価だけを見て判断していたら、投資を躊躇していたかもしれません。「株価ではなく企業の価値に目を向ける」ことが長期投資においては重要なのです。
事業内容がわかりやすい、新規参入を受けにくい、価格決定に強みがある
長期間にわたって成長を続ける企業であるには、以下の3つのポイントを兼ね備えていることが必要です。バフェット氏が保有する銘柄のなかで最も資産価値が高いアップルは、その条件を備えた代表的な企業といえます。
- ポイント1:スマートフォン、タブレット、パソコンという多くの人が持つ商品をメインにしており、事業内容がわかりやすい
- ポイント2:スマートフォン(iPhone)のOSやアプリを自社で囲い込むことによって顧客を固定化。新規参入の影響を受けにくい仕組みを作り上げた
- ポイント3:圧倒的シェアを獲得したことにより価格決定で優位に立った。定価で売れるため値下げ要請を受ける心配がない
アップルは、強固なビジネスモデルを築き上げたことによって、高い需要を背景に売り上げを伸ばしていきました。2020年8月19日には時価総額が2兆ドルを超え、2位以下を引き離して時価総額世界一の座を維持しています。
アップルのように、長期的に需要が高く安定し、成長が見込まれる企業に対して投資することが、「成功する長期投資」の秘訣といえます。
バフェット氏がはじめて株に投資したのは11歳のときといわれています。そのときの投資額はわずか114ドルでした。それから約80年間投資を続けて、世界第4位の資産を築いたわけです。短期売買で結果が出ていない人は、バフェット氏の投資手法に学び、長期投資を検討してみてはいかがでしょうか。
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