コロナ禍で、女性の自殺率や実質失業率が上がっている今、女性同士による助けあいの輪が広がっています。 今年2021年3月13(土)~14(日)日には、東京都・新宿区立大久保公園で「女性による女性のための相談会」が開催されました。この相談会を実行したのは約60名にも及ぶ女性スタッフ。
看護師、保育士、心理カウンセラー、弁護士、労働組合スタッフ、DV被害、セクシュアルマイノリティのための相談員など、専門性を持ったスタッフが集結してテントを設置し、生活、労働、子育て、DV被害や性被害など幅広い相談を受け付けました。
マッサージ、衣料品、食料品(野菜や果物)、生理用品、シャンプー、基礎化粧品、花などの無料支給品を配布し、キッズコーナーも設けて子連れの女性でも気兼ねなく訪れることができる画期的な相談会として大きく注目を浴びた「女性による女性のための相談会」。
ツイッターでも相談者の喜びの声が多数投稿されています。この相談会の実行委員のひとりであり、長年労働問題に取り組んできたジャーナリストの松元千枝さんに、コロナ禍で困窮する女性についてお話を聞きました。
「女性が現れなかった」過去のコロナ相談会
――2020年の年末から2021年年始にかけて、大久保公園で行ったコロナ相談村での経験から、女性のための相談会の必要性を感じ発足されたと聞いています。
松元千枝さん(以下、松元)「2020年の夏以降、コロナ禍でますます深刻化された貧困問題が浮き彫りになり、各地で多くの対面・電話・LINEなどの相談会が開催されてきました。2020年11月に労働組合が行った日比谷公園での相談会は『2008年の派遣村(※)になるのではないか』とみんなで話をしていました。私と仲間が応援に行くと、女性専用テントがひとつあったのでテントのなかで待っていたのですが、誰も来ないんですよ!
私が見た限りでは全体の来場者のうち、女性はたったの2、3人。スタッフも女性に対応できるように準備していたのに。困窮している女性は男性よりも多いはずなのに、女性の姿が見えない。不思議だ、とみんなで話していました」
※「年越し派遣村」…リーマンショック後の、2008年12月31日から2009年1月5日まで、派遣切りされた労働者らが年を越せるように、日比谷公園に開設した避難所。505人の相談者のうち、女性はわずか5人だった。
女性が入りづらい雰囲気だった
――それはどうしてでしょう?
松元「開催者も来場者も男性が多い上に、冬だったので黒っぽいジャケットを着用していました。だから、外からパッと見ると、黒っぽい男性ばかり大勢。女性には非常に入りづらい会場だった、と気づいたんです。
その反省もあったので、2020年から2021年にかけて、日本労働弁護団有志と各労働組合が新宿区立大久保公園で開いた『年越し支援・コロナ被害相談村』では、女性弁護士と女性相談員がいることを大々的に宣伝しました。すると、3日間で60名以上の女性が見えて、来場者全体の2割を占めたんです。これをきっかけとして、女性専用テントの必要性を感じました」