愛犬の歩き方がおかしい、体が傾く、けいれんする…など、愛犬の仕草や行動がおかしいときは、脳神経系の病気が疑われます。なかでも、長寿化に伴って増加しているのが「認知症」です。
早期発見が大切なので、愛犬がまだ若いうちから知識をもっておきましょう。

1.犬の認知症(痴呆)とは

脳神経系の病気のなかで、とくに注目したいのが「認知症」です。人と同様、長寿化に伴って、近年、増加しています。

2.認知症の症状とは

愛犬が寝てばかりいる、目や耳が衰えてきた、反応が鈍い…。「もう年だから」と、単なる老化と見過ごしているうちに、次第に「夜鳴き」や「徘徊」「旋回運動」など、認知症特有の異常な行動が目立ってくることがあるかもしれません。なかでも夜鳴きは、家族の睡眠不足や近隣迷惑を招き、飼い主さんを最も困らせる症状の一つでしょう。

認知症チェックリスト

  • 名前を呼んでも反応がない
  • よく寝て、よく食べて、下痢もせずに痩せてくる
  • 昼間は寝て過ごし、夜中や明け方に意味もなく鳴く
  • 狭い所に入りたがり、行き止まると後退できない
  • とぼとぼ歩き、旋回運動(円を描くように歩く)をする
  • 不適切な場所での排泄や尿失禁をする
  • 学習した行動や習慣的な行動ができなくなる
  • 視力も聴力も失い、異常ににおいを嗅ぐ
  • 飼い主も見分けられず、何事にも無反応

3.犬の認知症の原因

犬の認知症にも、人の「アルツハイマー型認知症」に似た症状が出てきます。
「アルツハイマー型認知症」の原因は、脳にβ-アミロイドというタンパク質が蓄積し「老人斑」を作り、脳の機能を低下させると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。
人のアルツハイマー型認知症の場合、β-アミロイドの蓄積による老人斑以外に、リン酸タウという異常タンパク質の蓄積や脳の萎縮が見られますが、犬の脳にはそれらの症状が見られず、アルツハイマー型の前段階と考えられています。

4.犬が認知症にならないための4つの対策

愛犬が認知症にならないよう、できるだけ早期の段階で変化に気づいてあげたいものですね。
かつては、認知症は老化によるもので、治療や予防はできないと思われていましたが、最近はある程度の対策が有効であると考えられています。
ここでは認知症にならないための4つの対策をまとめました。

もしかして認知症?犬の認知症の特徴と対策方法
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)
  • 対策1.不飽和脂肪酸の摂取
  • 対策2.抗酸化作用のある成分を摂取
  • 対策3.刺激のある生活
  • 対策4.筋力を維持

対策1.不飽和脂肪酸の摂取

DHAやEPAなどの青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸が、夜鳴きや夜中の徘徊などの認知症の改善に効果があるとされています。サプリメントや週に数回の青魚を使った食事などで、認知症の予防や症状緩和の対策をしましょう。

対策2.抗酸化作用のある成分を摂取

体内で発生する活性酸素は、神経細胞を傷つけ、脳の機能を低下させる原因になります。
そのため、抗酸化物質を与えると、認知症の予防になるといわれています。β―カロチン、ビタミンC、ビタミンEなどを含んだ野菜や果物を食生活に取り入れたり、サプリメントで補ってあげましょう。

対策3.刺激のある生活

愛犬に声をかけたりスキンシップをしたり、「おすわり」や「待て」などの訓練を続けたりなど、毎日の生活に刺激を与えてあげましょう。

対策4.筋力を維持

体を動かせなくなると認知症が進みやすくなります。日頃から意識して筋力を維持することも大切です。老犬だからと運動をやめてしまわず、かかりつけの獣医師に相談しながら、適度なお散歩を欠かさずにしましょう。