一般的に、ヨガでは腹式呼吸が推奨されるイメージがあると思いますが、実は胸式呼吸も大切な呼吸法のひとつでよく用いられます。

ここでは代表的な胸式呼吸やその効果、メリット、腹式呼吸との違いなどについて解説していきましょう。

もったいない!胸式呼吸に対する誤解が多い

『yoganess』より引用
(画像=『yoganess』より引用)

息を吸いながらお腹を膨らませ、息を吐く時にお腹を凹ませる。

この腹式呼吸の効果についてはさまざまなところで取り上げられていますが、胸式呼吸の情報はあまり知られていないので、胸式呼吸についてネガティブなイメージを持っている人も多いかもしれません。

よくある誤解が「腹式呼吸は深い呼吸で、胸式呼吸は浅い呼吸だ」というもの。

これは大きな間違いで、胸式呼吸もきちんと行うと非常にパワフルで、心身への効果が高い呼吸です。

もう一つが「私たちは日常生活では胸式呼吸をしていて、呼吸法をするときに腹式呼吸になる」という誤解も多いようです。

確かに間違ってはいませんが、日常生活で無意識に行っている呼吸は実は胸式呼吸にも至っていないのではないか、と私は考えています。

私のクラスに参加される生徒さんの多くが、日常生活では胸式呼吸というより「鼻だけで呼吸をしている」印象です。

そのため、クラスの最初で胸式呼吸を練習すると「胸式呼吸ってこんなに難しいんだ!こんなに深いんだ!」とほとんどの人が驚かれますし、「今まで息をしていなかったかもしれない」とおっしゃる方もいるほどです。

ヨガの呼吸法「ウジャイ呼吸」は代表的な胸式呼吸

『yoganess』より引用
(画像=『yoganess』より引用)

ヨガのレッスンの中ではだいたい呼吸法の練習があると思いますが、よく知られている呼吸法の一つが「ウジャイ呼吸」という呼吸法で、実はこれも胸式呼吸です。

勝利の呼吸法とも呼ばれるこの呼吸に合わせてヨガのポーズを流れるように進めていくのがアシュタンガヨガやヴィンヤサヨガと呼ばれるヨガです。

「ウジャイ呼吸」のやり方
  1. 手のひらを口の前に持ってきて、その手のひらを温めるように息をは〜っと吹きかける練習をする。
  2. この時の喉の状態が「喉の奥を半分に状態」。この喉の状態のまま口を閉じて、は〜っと鼻から息を出すと、呼吸の摩擦の音が喉から耳に響く。
  3. 最初は難しいかもしれないが、息を吸う時も同じように音を立てて行う。

このように、ウジャイ呼吸とは呼吸の摩擦音を喉から耳の辺りに響かせる呼吸法です。

喉の奥を半分にすることで呼吸の長さが自然に長くなりますし、呼吸の音を自分でよく聞くことで呼吸の長さをコントロールしやすくなるといったメリットがあります。

また、一般的にウジャイ呼吸には心身の浄化効果や自律神経の調整効果があると解説されます。

正しい胸式呼吸で肺をフル活用し、代謝を上げ、上半身をゆるめる

『yoganess』より引用
(画像=『yoganess』より引用)

ウジャイ呼吸は私もクラスの最初に必ず練習します。

お腹の奥は引き締めて(バンダといいます)、肋骨を両手で包みながらウジャイ呼吸をしてみてください。

息を吸うと、手で包んでいる肋骨の下の方が胸の上・鎖骨に向かって膨らんでいきます。

息を吐くときは、鎖骨から肋骨の下に向かって少しずつ吐き出していくことで、手で持っていた肋骨のサイズが元に戻ります。

何度も繰り返していると、

  • 肋骨が呼吸に合わせてダイナミックに動いていること
  • その下にある肺や横隔膜も大きく動いていること
  • さらに骨の外側にある背中の筋肉や脂肪も、胸のあたりも大きく動いていること

を感じるはずです。

個人的には2〜3分この呼吸法を行うだけで汗ばむほどの効果があります。

普段の無意識の呼吸が鼻のあたりで浅く行っているのに対し、ウジャイの方法を使った胸式呼吸では肋骨の下(肺の下)から鎖骨上(肺の上部)まで完全に大きく動かしているわけですから、呼吸量も代謝量も大きく異なって当然です。

さらにこの呼吸に合わせてヨガのポーズを行えば効果が高まるのも当然といえるでしょう。