資産を大きくしていく時の重要なキーワードとなる「複利運用」という言葉をご存知だろうか。かの天才物理学者・アインシュタインも「複利は人類最大の発明である」との言葉を残したと言われており、偉大な人物をうならせるほどの力が「複利」にはあるのだ。
ここでは複利の考え方とは何かを説明するとともに、その考え方を使った具体的な資産運用の仕方の例をお伝えしていく。
ゆきだるまを転がすと……
まず「ゆきだるま式に膨らんでいく」とは、どのような状況だろうか。ゆきだるまを作ったことのある人はなんとなく想像がつくかもしれないが、はじめは小さかったボールが転がしていくうちにあっという間に大きくなり驚いたことがある人も多いだろう。
ゆきだるまを作るときには、通常丸い面を転がしながらボールを大きくしていくのだが、転がせば転がすほど面の大きさが大きくなるので付着する雪の量もそれにともなって増えるのだ。
ここでのポイントは「付着する面の大きさがどんどん大きくなる」というところである。このポイントを金融商品に当てはめて考えたものが複利運用である。
お金の運用における金利 複利と単利
ご紹介した「雪だるま式」をお金の運用に当てはめて考えてみよう。お金の運用の利子には幾つか種類があるが、その中でも有名なのは単利である。単利は元本に対してのみ利息がついていくもの。
元本が100万円、年間の利息が5%だったとして単利で運用した場合にもらえる利子は税引き前の段階で次のようになる。
1年目 5万円
2年目 5万円
3年目 5万円
4年目 5万円
基本、元本が増えないので利子も変わらない。ちなみに上記の利子をもらい続けた場合、30年後に手元に残る金額は元本と合わせて250万円である。
次に、複利で運用した場合を考えてみよう。複利は元本プラス得られた利子に対して利息がついていくというもの。元本、利率は上記と同じ100万円、5%で計算していくと以下のようになる。
1年目 5万円
2年目 5万2500円
3年目 5万5125円
4年目 5万7881円
単利に比べると2、3、4年目と利子金額は増えていることがわかる。
これが元本に得られた利子を追加したのち再び利率を掛け合わせるという複利の計算だ。
こうしてみると増え方が大したことがないと思われるかもしれないが、複利の力は時間が経つほど大きくなっていくという特徴を持っている。
仮にこの調子で30年間運用した場合、30年目に受け取る利子はなんと20万5806円となる。ちなみに、複利計算した場合、元本プラス利子の金額は30年後には「432万1942円」になるのだ。
単利で計算した総合金額250万円とはおおきく離れた数値になっていることがわかる。複利運用を時間をかけて行うことで、単利運用におおきく差をつけることができるのだ。
複利の考え方を取り入れ、具体的に運用するには
そうはいっても金融資産の価格は変動するものなので、必ずしもさきほどの複利計算の通りにはいかないものだ。
ただ、それでも増えた資産がさらなる資産を生み出すという「複利の本質的な考え方」を取り入れて、株式投資なり金融資産の運用を実践していくことは可能である。そして、それは将来的に大きな資産を作り出すための第一歩であると筆者は考えている。
そこで複利の考え方を取り入れた運用方法の一つとして「株主優待投資」がある。今では株主優待を実施している企業はたくさんあるが、株主優待の場合、株の配当よりずっと割りの良いリターンを得ることができるのだ。
例えば、10万円程度の投資で年間6000円分の食事券をもらえるクリレスホールディングスは、優待利回りだけで6%近いリターンを得ることが出来る。おまけに配当と違い、優待には税金がかからないので利益を丸ごと享受することもできる。
優待を使った生活により、その分残った資金は再び株を買うという行動を繰り返していくと資産形成は加速していくはずだ。
ちなみにこれは名だたる億トレーダーの方々も実際に実践している方法でもある。複利運用の具体例の一つではあるが、興味があれば実践してみてもらいたい。
複利による運用は「時間」が大きな味方になる
さて先ほどご紹介したように複利による運用は時間が経てば経つほど、その威力は絶大なものとなる。つまり金融資産の複利運用もできれるだけ若いうちから始めた方が最終的に残る金額が大きくなるのだ。これから資産作りも自分で積極的に行っていかなくてはならない時代である。複利の力を最大限味方につけるために早いうちから複利的な運用を始めてみてはいかがだろうか。
文・谷山歩(個人投資家)/ZUU online
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