◆周囲から“理想の結婚像”を押し付けられ…

 山田さんは自身のあり方を理解してくれる現在のパートナーと出会い、結婚しました。しかし、2人が幸せに結婚生活を送っていても、周囲からの批判に悩まされたそうです。

「籍を入れるとき、相手の姓ではなく私の姓を選択しました。パートナーはどちらでもよい考えをもっていたのですが、相手のお父さんが『苗字に合わせて名前を考えたから、息子の苗字を変えさせるわけにはいかない』と言い、大反対したのです。

 パートナーには妹がいるので、私は『娘さんが結婚して苗字が変わったらどう思うんですか?』と質問したら、『あの子は嫁に出ると思っているから問題ではない』と答えました。結局男だから苗字を変えないで、女なら名前の画数や文字数関係なく変えてもいいという考えなんだと思いましたね」

 結婚というあり方が一緒くたに語られることで、さまざまな人たちの生きづらさにつながっています。パートナー間で解決していても、世間の概念から外れることで批判の目に晒される可能性があるのです。

「その後、パートナーの父親からパートナーに『あんな極端な人間とは結婚しないで、普通の人を見つけてこい』とのメッセージが送られてきました。私たち2人で解決していることなのに、親からの介入があったり、男女の役割を押し付けられたり、結婚というものの敷居の高さを感じました。

 おそらくですが、ryuchellさんも私たちが経験したように、世の中は結婚を“パートナーシップ”ではなく、“家族単位のもの(親族全体を巻き込むこと、ひいては両家の合意のうえでするもの)”と認識していることを感じてしまったのかなと思います。2人がしっかりコミュニケーションをとって、お互いのベストな選択を見つけたなら、本来ならばそれに対して第三者が介入する必要はないと思うのですが……」