【プロフィール】
森田由美 Yumi Morita
多くのクライアントから非常に高い評価を受け、テンナインとのお付き合いも10年以上となる英日翻訳家の森田さん。ここ数年は、字幕翻訳案件を中心にご依頼していますが、森田さんは独学で字幕翻訳を習得されたそうです。字幕翻訳の秘訣と、最近の字幕翻訳案件の動向について翻訳部の松本と木村がオンラインでお話を伺いました。
松本:前回の記事を改めて読み返したのですが、2011年と、もう10年以上経ったんですね。この10年を振り返ってみていかがですか?
森田:あっという間でした。やっていることは10年前とあまり変わらないつもりですが、世の中が変わってしまうので。世の中の変化に合わせて自分も対応していかなければならない、そういう10年だったと思います。
松本:一番大きかった変化は何でしたか?
森田:今の私の仕事の内容を説明しますと、1年間の内、3分の1くらいは実用書や専門書の翻訳をしており、それが年間1冊か2冊です。それとは別に御社をはじめ実務翻訳も色々なお仕事をさせていただいています。
専門書は心理学、精神学、児童福祉、発達障害などをやっておりまして、そこに大きな変化はなかったのですが、実務翻訳はどうしてもお客様のニーズに左右されます。10年前とは担当する業界がちょっとずつ変わっていているのかなと思いますね。 実務翻訳は、文書の性格で言いますとプレスリリース、マーケティング、レター、レポート、ブログ記事といったコミュニケーションに関わるもの、企業内の組織でいうと広報に関わるような文書を手掛けています。一度お仕事をいただいたお客様とは長く取引をさせていただくことが多くて、一度担当したお客様を連続で何年も受けることが多いです。そうはいっても5年10年となると、お客様のビジネスの浮き沈みで翻訳の需要自体がすごく変わった気がします。だからリーマンショックがあり、東日本大震災があり、2020年以降はパンデミックがあり、その度に担当するお客様が少しずつ変わってきているのかなと感じています。
松本:時代の流れでクライアントの動向が変わったとのことですが、どういったところで苦労されましたか?
森田:やはり新しいトレンドを調べていかないといけないことが一番大変です。 何年か前にEUでデータ保護規則が新しくなったときには、どの企業でもそこに対応した文書が必要になって、突然「プライバシーポリシー」を毎日訳すみたいになるので、その年はその分野を勉強しないといけない。最近でいうと、「デジタルトランスフォーメーション」とか「SDGs」とか。背景にある知識がないと正しく訳せなかったりするので、常に今の世の中の動向を勉強していかないといけない、というのは大きいと思います。