肉食ならではの、細くて鋭い猫の「歯」。人の歯とどう違うのでしょうか?その特徴をクローズアップしてみましょう。

猫の歯の基礎知識

1.猫の歯が生え変わるタイミング

猫の歯は、生後4ヶ月頃から抜けはじめ、6ヶ月くらいで生え変わります。
生後2~3週間で乳歯が生え始め、1ヶ月ほどで生え揃いますが、生後4ヶ月ほどで永久歯に生え変わりはじめます。通常、6ヶ月頃には生え変わりますが、抜けた乳歯はほとんど飲み込まれてしまうため、飼い主さんは気づかないこともあるかもしれません。
ちなみに猫は、乳歯26本、永久歯30本。人は乳歯20本、永久歯28本(親知らずを含めて32本)ですから、本数自体はそれほど大きな差はありません。一方、犬は永久歯が42本と、口吻が長い分、歯の数も多くなっています。

2.猫の歯の役割

猫は肉食動物ですので、その歯は、ほとんどが肉を切り裂きやすい先の尖った形をしています。切歯・犬歯・臼歯の役割をご紹介していきます。

"切歯"の役割
"犬歯"の役割
"臼歯"の役割

猫の歯が生え変わるタイミングと歯の役割
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

切歯

正面に上下各6本ある前歯。獲物を捕らえたり、物をかじったり、体がかゆいときに毛づくろいをするのも、この歯です。

犬歯

切歯の両側に上下各2本ある、大きく尖った歯。獲物に噛みついたり、肉を引きちぎったりします。猫にとっての大きな武器で、戦うときは、犬歯をむき出しにして相手を威嚇します。

臼歯

犬歯の後に続く歯で、前臼歯が上に6本、下に4本、後臼歯が上下各2本あります。
人の臼歯は、文字通り臼状で、食べ物をすりつぶす役割をしますが、猫には食べ物を咀嚼する習慣がないため、臼歯も小さく先が尖っており、食べ物を噛み切ることに特化した構造です。

猫の噛む力は人の約1.7倍!?

猫は、犬歯を突き刺して獲物を仕留めますが、犬歯を深く食い込ませるには、噛む力が強くなくてはなりません。猫の噛む力は約100kg、人が約60kgですから、なかなかのもの。ちなみにライオンが300kg、最強はワニの2000kgです。

3.猫は虫歯にならない!?

猫と人では、口内環境にいくつかの違いがあります。
まず1つめは、先に述べた通り、歯の形状が違います。人の歯の多くが臼の形をしているのに対し、猫の歯は多くは薄く尖っています。
2つめは、人の唾液にはデンプンを糖に分解する酵素・アミラーゼが含まれていますが、肉食の猫は本来、炭水化物を必要としないため、唾液にアミラーゼが含まれていません。
3つめは、人の口内は弱酸性ですが、猫はアルカリ性です。
こうした違いが、実は虫歯や歯周病の発生率に影響しています。猫の場合、口内がアルカリ性で虫歯菌が繁殖しにくいこと。唾液にアミラーゼを含まず、虫歯菌の餌となる糖が口内に溜まりにくいこと。歯が尖っていて、人の臼歯のようにくぼみに虫歯菌がたまりにくいことなどから、人と比べて虫歯になりにくいのです。逆に口内がアルカリ性のため、歯垢が石灰化して歯石になりやすく、人より歯周病になりやすいといえます。