NVC(非暴力コミュニケーション)を学ぶヨガインストラクターが急増中!
筆者も10年前から学んでいます。
ヨガインストラクターを目指す理由に、ヨガ哲学の「非暴力」という考えに魅せられたことがきっかけになったと話す人は少なくありませんが、この「非暴力」という共通のキーワードに惹かれNVCを学びはじめるインストラクターが多いようです。
ここではNVCの基礎知識や実践方法について詳しく解説。
NVC(Non Violence Communication非暴力コミュニケーション)とは?
NVCとは1970年代にアメリカの臨床心理学者のマーシャル・B・ローゼンバーク博士によって体系化され提案された「平和的コミュニケーション」の手法のことです。
私たちが幸せに暮らせるかどうかは、金銭的な状況や健康状態よりも人間関係にかかっています。
しかし、多くの人が人間関係で不満や悩みを抱えています。
人間関係さえ良くなれば、今よりもっと幸せになれるのに…。
そう考えている人は少なくないはずです。
しかも人間関係の問題は遠くの人との間に起こるのではなく、家族や仕事仲間など自分と距離が近い人との間に生じるもの。
つまり、縁があって繋がった身近な相手とこそ良好な関係が築ければ人間関係の問題は起こりにくくなります。
NVCでは自分と縁がある人、目の前にいる人と深くつながり関係性を育んでいくことを目標とします。
必ずしもわかり合う必要はありません。
双方のあり方や望みを尊重し、傷つけあうことなく、双方にとって居心地の良い関係性を築くために会話をする。これがNVCの目標です。
私たちが普段使っている言葉のほとんどが「暴力的」だった
なぜ、私たちは目の前にいる人と深く繋がることができないのか。
それは私たちが日常で使っている言葉のほとんどが「判断・批判・分析・取引」から成り立つ、非常に暴力的な言葉で会話をしているからだとNVCでは教えられます。
例えば、親が子どもによく言ってしまう「●●してくれてありがとう」「◯◯できてえらいわね」でさえ、ジャッジ(判断)が入った暴力的な言葉なのです(NVCではジャッカル語と表現)。
他にも「この仕事、来週までに完成させておいて」と上司に言われたとして、「偉そうだ、急すぎる、やらないと評価が下がるかも」などと自己判断し、勝手に嫌な気持ちになったり相手を嫌いになったりしてはいないでしょうか。
これも相手の言葉を「判断・批判・分析・取引」によって理解しているから。
さらに上司のリクエストに対し「そんなこと急に言われてもできません」と返したとしましょう。
これも「判断・批判・分析・取引」に基づく反応で、これでは上司をさらに苛立たせてしまいます。
しかし、私たちはこのような不毛な会話を繰り返し、人間関係や日常生活がうまくいかないと嘆いているのです。
お互いが双方の本意を理解しないまま、勝手な自己判断で安易に反応しているだけのコミュニケーションは非常に暴力的で誤解を生みます。
これが人間関係を分断させる原因だとNVCでは考えるのです。
NVCでは相手の本意がわかるまで双方が傾聴を続け、さらにその上で双方が本当に「必要としていること(ニーズ)」を双方ともに満たすことを目標とします。
そのためには丁寧で粘り強い会話が不可欠です。
短く・早く・わかりやすく・扇動的に・強めに言葉を発することが「よし」とされる現代のコミュニケーションとは真逆と言っても良いでしょう。
NVCの具体的な実践方法は?
では、先の会話をNVC的にするとしたらどうすればいいのか?
NVCには具体的なやり方が示されていて、やることはたった4つとシンプルです。
全ての会話や出来事を
- 「ステップ1:観察」
- 「ステップ2:感情」
- 「ステップ3:必要としていること(ニーズ)」
- 「ステップ4:お願い(リクエスト)」
の4つのプロセスで深く観察し、そのうえで言葉を発するという方法になります。
例えば、子どもがしたことに対して「◯◯できてえらいわね」といきなりジャッジを下すのではなく、じっくり観察します。
どのような状況でそれをしてくれたのか、それができたことでお子さんと自分はどのような感情を抱いているのかを具体的に感じとってみます。
すごいな、頑張っているな、この前教えたことを真似ているのだな、私はこの成長を見ることができて幸せだな、ありがたいな、など「えらいわね」で終わらせる前に、しっかり感じとってみます。
さらに、そこから自分の必要なことや、お願いがあればそれを伝えます。
「とっても嬉しいからこれからもそうしてくれたら助かる」とか「これからもこうやって伝えてほしい」などです。
仕事を依頼した上司の例であれば「この仕事、来週までに完成させておいて」という言い方では自分の心の奥底にある気持ちを表現できていません。
なぜ来週までに完成させる必要があるのか、なぜその部下に頼む必要があるのか、なぜ今頼んでいるのか、どんな風にその仕事を完成させてほしいのか、など言葉を尽くして状況や真意を伝える必要があります。
それをせずに一方的に短い言葉で要求しているだけなので、その言葉が「暴力的」になってしまい、相手からも暴力的な反応を生じさせてしまっているのです。