ここで2種類のスープをいただきます。ひとつはデミタスカップで運ばれる「もぎたて玉葱黍の冷製スープ“カプチーノ”ベーコンの薫り」。水と少量の塩だけで味つけした甘味の強いスイートコーン“ゴールドラッシュ”は、口の中に旨味が広がる冷製スープで、牛乳を泡立てたカプチーノ仕立てです。
まず驚くのが、ガラスのティーポットに入ったコンソメスープが、シャンパングラスに注がれること。パフォーマンスを目で楽しみ、豊かな香りを満喫してから、味を確かめるという趣向。肉をはじめ素材の旨味が口の中で広がります。コース料理のスープから、プラス\1,000で変更できます。
魚料理はアカムツのエスカロップ(薄切り肉)。フュメ・ド・ポワソン(香味野菜を加えた魚出汁)をベースに、白ワインやバターを使ったブールブラン(白いソース)をかけ、さらに味わいを深める赤ワインを使ったブールルージュソースが彩ります。
メインディッシュは「仙台黒毛和牛フィレ肉の塩竃の藻塩入りパイ包み」で、通常はパーティーや記念日などで提供される特別な料理です。黒毛和牛の塊が、この日は薔薇の花とブドウ柄のパイに包まれて登場。目の前でシェフが仕上げる、五感で楽しむ料理です。
2時間半ほどかけてゆっくり火入れしたパイ生地の中には、蓮の葉に包まれた黒毛和牛が入っています。パイに包んで低温で焼き上げると塩分が肉の中に浸透し、深い味わいに仕上がります。
グレービーソースや赤ブドウの入った紫色のヴィオレマスタード、塩釜の岩塩など、お好みでいただきます。厚切りのお肉はとても柔らかく、塩味も絶妙。肉の旨味や蓮の香りが口の中で広がりました。
デザートのピーチメルバは、福島県を代表する桃「あかつき」のなかでも、29年もの間皇室へと届けられる県北部の桑折町の献上桃。白石市にある竹炭を飼料にした「竹鶏たまご」のバニラアイスが添えられます。
さらにワゴンサービスのスイーツが運ばれ、好きなものを選べます。全種類頼む方も多く、全ての味を試したいところ。注目は、アミューズスプーンにのる名取市「Natu-Lino(ナチュリノ)」のミルクジェラート。バイデン大統領が来日した際、夕食会で提供された逸品です。
小菓子と共にいただいたのが、サトウキビの糖蜜で造る濃密なラム酒。カリブ海の島バルバドスにある蒸留所「マウントゲイ 1703」の、10年から30年熟成した原酒をブレンドした限定品「オールドカスク セレクション」。ラム酒の入ったケーキや焼き菓子、ラムレーズンなどはよくいただく機会がありますが、ラム酒とスイーツの組み合わせは斬新で、かつ驚きの体験でした。
意外性のある盛り付けや香りを楽しむ工夫、宮城県産の素材の良さが感じられるフレンチディナーは満足感いっぱい。美味しいワインやラム酒はもちろん、日本酒とのマリアージュには驚かされました。親しみやすいソムリエとともに、料理のアクセントになるドリンクチョイスを楽しんでみてください。