タイトルを見て「8月15日決まっている!」「Anniversary of the end of World War IIじゃないの?!」と思った人も多いのではないでしょうか。
私もイギリスに引っ越すまではそう思っていました。毎年日本では8月15日になると「終戦の日」ということで戦没者の追悼式などが開催されます。「終戦」というと常識的に「太平洋戦争の終わり」と理解されます。
けれどもそれは日本の視点であり、それぞれの国にはそれぞれが戦った戦争があり、「終戦の日」も異なるということにイギリス暮らしをするようになってから気が付きました。また当たり前のようで意外に衝撃的だったのは、日本人にとっての「終戦/敗戦」は「敵国」にとっては「勝利」として今でも祝い続けられているということです。
イギリスではVE Dayと呼ばれる5月8日が今年は特別に祝日となりました。ヨーロッパ戦勝75周年をお祝いするためです。VE DayとはVictory in Europe Day、ナチス・ドイツが降伏した日です。つまり、ヨーロッパでの第二次世界大戦の終わりは5月8日で連合国側はVE Dayと呼んでいるのです。
ちなみに日本が降伏した日はVJ Day (Victory in Japan Day 対日戦勝記念日)と呼ばれ8月15日ではなく9月2日とされています。8月15日は天皇が「玉音放送」で国民に直接語りかけた日ですが、9月2日は降伏文書が調印された日。正式な終戦日ということです。
私自身はイギリスに引っ越して20年以上が経ち、一通りの苦難は乗り越えて今ではイギリスでの暮らしにすっかり慣れました(不便さも含めて)。たまに日本に帰ると戸惑うこともあるくらいです。けれども VE DayやVJ Dayのお祝いには強い違和感を感じずにはいられません。
もともと今年は75周年記念で盛大なイベントがイギリス各地で行われる予定でしたがコロナ禍の影響で多くが中止。それでもVE Dayが近づくと多くの家がユニオンジャックを掲げ、5月8日の午後はStreet Partyがあちこちで開催されました。イギリスでは女王の即位XX周年や切りのよい誕生日(例90歳)などにStreet Partyといって自宅前にテーブルを出し、近所の人とパーティをする習慣があります。今年は小規模でしかもご近所さんとは2メートル間隔を空けて…というソーシャル・ディスタンス(社会的距離)のルールを守りながらもシャンペンで乾杯している人たちがたくさんいました。
私はロックダウン中、日課となっている午後の散歩をしながら、乾杯している人たちを横目に複雑な気持ちを抱かずにはいられませんでした。第二次世界大戦が終焉して既に75年が経過しても、お互い戦勝国と敗戦国という過去を背負ったままなんだなあ、と。日本では終戦記念日に「日の丸を掲げて乾杯!」というのはありえないですよね。
今年は目には見えない新型コロナウィルスとの戦いが予期せず勃発しました。流血こそはないものの、世界は戦争に匹敵するほどの打撃を受けています。近い将来、国境を越えてVC Day (Victory over Covid-19)を一緒にお祝いできる日が来ればいいなと思います。
2020年5月18日
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