十分に寝たはずなのに、朝からだるい、疲れるといった症状を感じる方は、もしかすると「モーニングブルー」かもしれません。朝食でたんぱく質が不足している人、ライフスタイルに大きな変化があった人は、特に注意が必要です。管理栄養士の松田真紀先生に、詳しくお話を聞きました。

「朝の疲れは普通」と思っていませんか?

最近朝から体がだるい…なんとなく気分が晴れない…といった方は多いのではないでしょうか。それはもしかしたら「モーニングブルー」かもしれません。

原因となるのは、朝食でのたんぱく質不足やライフスタイルの変化など。

下記のチェックリストで、自身がモーニングブルーに当てはまるかどうかを確認してみましょう。

憂うつな朝・「モーニングブルー」を+10gのたんぱく質摂取で改善しよう!
(画像=『lovely』より引用)

教えてくれたのは…

松田真紀さん
管理栄養士、日本抗加齢医学会認定指導士、アスリートフードマイスター3級取得。女子栄養大学卒業。1994年、明治乳業株式会社入社。2014年、スポーツと健康に特化した「食プロデュース」を行なう株式会社バードワークス設立。ラクして食事を楽しむダイエットを提案する管理栄養士として300以上の施設、団体などで指導を行う。

モーニングブルー増加の原因は食習慣の変化や自律神経の乱れ!

ここ数年の著しい社会変容で、食習慣がガラリと変わったという方は多いでしょう。

「菓子パンやおにぎりなどで簡単に朝食を済ませるようになった」「これまで朝食を外で食べていたが、リモートワークになってから食べなくなった」という人は、昼食夕食が変わっていなくてもたんぱく質不足になっている可能性があります。

たんぱく質は、活動的な1日のスタートや、夜の睡眠の質を高めるために重要な役割を担い、不足すればモーニングブルーになるリスクが高まります。

また、季節の変わり目の時期は、自律神経が乱れて、夜に寝つきが悪くなる方が増加します。朝の目覚めも悪くなるため、モーニングブルーになりやすいということです。

モーニングブルーは、朝に影響を及ぼすだけではありません。集中力や判断力が鈍ってパフォーマンスが低下したり、ストレスが増加したりと、日中の生活でも弊害が生じることもあります。

目覚めも睡眠の質も良くする 朝のたんぱく質の力

体が目覚める、たんぱく質による熱産生

朝食での十分なたんぱく質摂取は、体を目覚めさせます。これには、食事をすることによって生み出される熱が関係しています。

体内に吸収された栄養の一部は、熱となって消費されます。この代謝の過程を、食事誘発性熱産生といいます。

起床時は1日のうちで、最も体温が低いとき。朝食を食べて体温を上げることで、だるさを感じている体を、活動モードに切り替えることができます。

たんぱく質は食事誘発性熱産生が特に高く、摂取したカロリーのうち30%が熱に変わるとされています。180kcal(45g)のたんぱく質を摂取すると、60kcal(15g)が熱として放出されるのです。

糖質の場合はカロリーの6%、脂質の場合はカロリーの4%であることをふまえると、効率良く熱を生み出すのに、たんぱく質を利用しない手はありません。

たんぱく質が睡眠を手助けしてくれる?

憂うつな朝・「モーニングブルー」を+10gのたんぱく質摂取で改善しよう!
(画像=『lovely』より引用)

たんぱく質を構成する必須アミノ酸のトリプトファンは、睡眠の質を向上したり、自律神経を整えたりといった働きを持つホルモン、メラトニンの材料になります。

ただし、1日のうちいつ摂取しても睡眠の質の向上を期待できるわけではありません。たんぱく質を摂取してからメラトニンが分泌されるまでに、12~13時間程度かかるため、朝食でたんぱく質を摂ることがポイントです。

たんぱく質には、トリプトファン以外にも、深い眠りを促すグリシンや、寝ている間にストレスを緩和するアルギニンなどが含まれます。

ぐっすり寝て、朝すっきり目覚めるために、朝食で積極的なたんぱく摂取が推奨されるのは、こういった理由があるのです。トリプトファンが特に多く含まれる乳たんぱくは、たんぱく質の中でも特にお勧めです。