ファンション雑誌などで秋冬になるとよく見る『ベルベット』という文字。実際ベルベットとはどんな生地なのでしょうか?また、似たような単語として見かける『ベロア』や『ビロード』とは何が違うのでしょうか?3つの種類の生地の違いとおすすめコーデについて解説します!
ベルベット生地(素材)とは?
ベルベットの意味
よくファッションの素材として聞くベルベットですが、ベルベット生地とはどのようなものなのでしょうか?ベルベットとは、平織、または綾織の経糸に、パイルを織り出したパイル織物の一つです。
パイル織物とは下地から出ている繊維を指し、ベルベットはパイルのループをカットしているカットパイルに分類されます。また、パイルには経糸と横糸で作る二種類があります。
ベルベットは経糸で作った経パイル織(たてパイル織)に分類されます。素材にはレーヨンや絹が使われ、ビロードや天鵞絨(てんがじゅう)という別名もあります。
ベルベットの特徴
ベルベットの特徴はその手触りと光沢感です。ベルベット生地は非常に柔らかい手触りが特徴で、短めの毛羽には上品なラグジュアリー感があります。また、表面には光沢があり、ツヤのある素材感が特徴です。
その上品な高級感のある手触りと質感は、フォーマルなファッションやドレスなどによく使用されます。更にカーテンなど、ファッションアイテム以外にも使われることがあります。
柔らかさと美しい艶感は一級品ですが、水に弱いという欠点もあります。汗をかくとすぐに表面の素材が寝てしまい、本来の手触りやツヤが楽しめなくなってしまいます。
パイル織物とは?
ベルベットとはパイル織物の一種ですが、そのパイル織物というものはどのようなものなのでしょうか?パイル織物とは、繊維がループ状になっている織物を表します。
身近なもので言うとタオルがそうですね。タオル素材を近くで見ると、繊維が輪っかのようにループしています。このようにループを切らずにそのままの状態にしているものが、ループパイルと呼ばれています。
一方一度作られたループをカットすることで表面に毛羽を立たせているものが、カットパイルと呼ばれます。ベルベット、ベロア、別珍は全てカットパイルに分類されます。
ベルベット生地(素材)とベロア・ビロード・別珍との違いは?
ベロア生地との違いは?
ベルベット生地によく似ている為、混合されやすいのがベロア生地です。ベロアとは、パイルをカットして表面に長めの毛羽を出している織物を指します。
ベルベット生地との差別は、ベルベットに比べて毛羽は長く、厚みがあるという点です。その他にもブラッシュ編というのパイルをカットして毛羽を立てた、ニットベロアという素材を指す場合もあります。
ベロアはベルベット生地に比べて範囲が広い為、ハッキリと特定するのが難しい生地でもあります。しかしストレッチ性のあるニット素材を使用している為、ベルベットに比べて伸び縮みしやすい生地でもあります。
ビロードとの違いは?
同じくベルベット生地と混合されやすいビロードですが、実はビロードとベルベットは同じ物を指しています。ベルベットの別名が、ビロードなのです。
ベルベットをポルトガル語読みしたのが、ビロードです。ちなみに日本に初めてビロード生地が伝わったのは、天文年間(1532~55年)と言われています。
この時に来日したポルトガル船によって伝わったと言われている為、日本ではベルベットよりもビロードと言う方が歴史が深いようですね。漢字では天鵞絨と書きます。
別珍生地との違いは?
こちらも見た目がベルベット生地に似ている為混合されやすい、別珍(ベッチン)です。別珍とベルベットは見た目がよく似ていますが、製法に違いがあります。
ベルベットは一度に2反分の生地を作り、真ん中から切り離すことで一度に2枚生地が作れます。一方別珍は生地の表面にループした繊維が出ており、そのループをカットして毛羽にする製法です。
生地の特徴としては別珍はベルベットに比べて硬く、光沢感も落ち着きます。また、ベルネットに比べてやや水に強いという利点もあります。ただしフォーマル感はベルベット生地に比べ劣るでしょう。
ベルベット生地(素材)のお手入れ方法は?
ベルベット生地のお手入れ法①ブラシを使う
ベルベット生地は非常にデリケートな素材ですので、下手なお手入れ法だと生地を傷めてしまいがちです。大切に使い続ける為にも、正しいお手入れ法を覚えましょう!
ベルベット生地のお手入れにおすすめなのが、洋服用の柔らかいブラシです。表面に付いたゴミや埃は、柔らかいブラシを使って落とすといいでしょう。この時一定方向に向かってとかすと、生地の毛羽が整います。
柔らかいブラシを使ってベルベット生地の毛並みに沿ってとかすようにすれば、ゴミや埃が取れるだけでなく、毛並みも揃う為美しい光沢感が復活します。
ベルベット生地のお手入れ法②スチームアイロンを使う
ベルベット生地の表面には無数の毛羽がある為、どうしても毛羽が乱れてしまい見た目が美しくなくなることがあります。そんな時は、スチームアイロンを使ってお手入れしましょう。
毛羽が乱れている部分を裏返し、裏地部分からそっとスチームアイロンをかけます。すると寝てしまった毛足が立ち上がるので、乱れてしまった毛羽が復活します。
この時、乱れている毛羽の表面部分に直接スチームアイロンをあてると、余計に毛羽が寝てしまったりテカってしまったりする原因になるので、必ず裏地側からやりましょう。
ベルベット生地のお手入れ法③濡れた場合は乾いた布を
ベルベット生地は非常に水分に弱く、少しでも濡れるとすぐに毛羽が水分で寝てしまいます。もし水に濡れてしまうと、その部分だけ柔らかさや光沢感が無くなってしまうので、注意しましょう。
部分的に塗れてしまった場合は、すぐに乾いた布を使い優しく叩くように水分を吸い取ります。この時、ゴシゴシとこすると生地を傷める原因になるので注意してください。
なるべく軽く、ポンポンと叩くように水分を吸い取りましょう。しかし、ベルベット生地はできるだけ濡らさないのが一番です。汗をかきやすい日や雨の日などの着用は、出来るだけ避けましょう。