仰向けの状態から頭の後ろに足先をつけて背骨を伸ばす 「鋤のポーズ(ハラアーサナ)」。
ヨガのポーズの中でも基本的かつ重要なポーズの1つとされています。
この記事では、「鋤のポーズ」のさまざまな効果や正しいやり方について詳しくご紹介していきます。
ヨガの鋤のポーズとは
「鋤のポーズ」はアンチエイジングの効果が期待できる、ヨガの代表的なポーズの1つです。
アンチエイジング(若返り)の鍵は「血行を促進すること」。
特に、老化現象が現れやすい頭部への血流を良くすることが鍵となります。
重力の関係で血液は心臓よりも下に流れやすく、心臓よりも上に血流を促進させるためには十分な運動習慣や、十分な睡眠習慣が不可欠です。
しかし、年齢とともに姿勢が崩れ、首や肩、背中全体に疲労が蓄積し、凝りや痛みを感じるようになります。
すると頭部の血流はどんどん悪くなり、肌トラブルや毛髪のトラブルとなって老化現象が目立つようになるのです。
ヨガでは心臓より頭を下にする「逆転」のポーズを行うことで、若返りが可能になると考えられています。
代表的な逆転のポーズの一つが「ヘッドスタンド(頭立ちのポーズ)」となり、そして今回ご紹介の「鋤のポーズ」も逆転のポーズであり、若返り効果が期待できる代表的なポーズの一つとされているのです。
鋤のポーズで得られる3つの効果
背骨の歪み、背中の疲労回復効果、自律神経の調整
ポーズの形が農具の「鋤」に似ていることからポーズ名がついたとされていますが、ポーズの見た目通り、背骨を強くストレッチする効果が期待できます。
日常生活において、背骨は重力で下方向に引っ張られていますが、このポーズを行うと背骨の位置が上下逆転するので、重力で姿勢が圧縮されている腰椎や胸椎といった背骨全体をリラックスして伸ばすことができます。
これによって背骨の歪みや背中周りの凝り、疲労の回復が期待できるのです。
また、このポーズと似ている、あるいはセットで行うことが多い「肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)」に前屈が加わっているのが「鋤のポーズ」になりますが、背骨への刺激はショルダースタンドよりもずっと強く、それによって 背骨を通る自律神経系にも効果的にアプローチし、バランスを整えてくれる のです。
ちなみに自律神経を整えることは、内臓の働き、ホルモンのバランス、血圧や体温など、私たちの意思でコントロールできない体の機能のすべてを整えることにつながります。
便秘や胃痛など、内臓のトラブルの軽減
同じく、「鋤のポーズ」を行うと内臓も逆転状態になります。
日常生活では、心臓より下にある腸などがポーズによって心臓より上になることで、いつもとは違った刺激を効果的に入れることができるのです。
「鋤のポーズ」でこの状態を保つことで、便秘や胃痛などの内臓の問題が軽減される効果が期待できます。
特に、お腹にガスが溜まっている人には効果的です。
このポーズに限りませんが、「鋤のポーズ」を含めて逆転系のポーズを1日3分程度行うと、便秘の問題は解決するという言い伝えもあるほどです。
甲状腺刺激による若返り効果
「鋤のポーズ」が上手に取れるようになると、あごの骨が鎖骨にぐっと寄って喉がやや締まり、首の後ろ側(頸椎)がストレッチされていきます。
これによって体の新陳代謝やホルモンの分泌をつかさどる臓器のひとつであり、喉仏の奥のあたりにある「甲状腺」という臓器が刺激されます。
首や肩周りの血流も促進されるので、頭部への刺激にもなり、肩こり、首こり、脳疲労も緩和されます。
「首を優しく撫でると若返る」とか、「首のマッサージで甲状腺を刺激」といった美容法がネット上に溢れていますが、それらの真偽はわかりません。
ただし、首こりや肩こりの問題がない方が元気で若々しくいられるのは間違いないと思います。
若返りたい方はこのポーズで、普段意識しない「喉の刺激」を加えてみることはおすすめします。