動物病院での犬の受診理由のトップは「皮膚病」。
それほど犬には皮膚トラブルが多いのです。
犬の皮膚はなぜ弱い?皮膚トラブルの原因は?
人の皮膚と比較しながらその特徴を学びましょう。

人とどこが違うの?「皮膚」の構造【犬のからだセミナー 皮膚編】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

犬の皮膚も、人と同様、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層からできています。そして表皮の一番外側が角質層で、外からの刺激、乾燥、紫外線などによるダメージから体を守るバリアの役割を果たしています。
人は被毛に覆われていない代わりに厚くて丈夫な表皮を持っていますが、犬の表皮は人の1/5~1/6程度の厚さしかありません。そのため、刺激や乾燥に弱く、皮膚のトラブルを起こしやすいといえます。

人とどこが違うの?「皮膚」の構造【犬のからだセミナー 皮膚編】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)
人とどこが違うの?「皮膚」の構造【犬のからだセミナー 皮膚編】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

人と犬では、皮膚に分布する汗腺にも違いがあります。汗腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があり、人が運動した後にかくサラッとした汗は、エクリン汗腺から分泌される体温調節のための汗です。人ではほぼ全身に分布しているエクリン汗腺が、犬では肉球にしかありません。そのため、主にパンティング(ハァハァというあえぎ呼吸)による唾液の蒸発で、体温調節を行っています。
一方、人ではわきの下などにしかない「アポクリン汗腺」が、犬では全身に分布しています。アポクリン汗腺は脂肪分の多いベタっとした汗を分泌します。この汗が酸化したり、細菌に分解されると、犬特有のニオイを発する原因になります。実は、あの”犬くさい”といわれる独特のニオイの元は「イソ吉草酸」。ムレた靴下のニオイと同じ成分なのです。

人とどこが違うの?「皮膚」の構造【犬のからだセミナー 皮膚編】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

皮膚は一定の周期で新しく生まれ変わっています。表皮の一番下にある基底層で作られた細胞は、成長に伴って徐々に皮膚の表面へと押し上げられていき、表皮の一番外側にある角質層まで移動すると、フケとなってはがれ落ちていきます。このように新たに表皮細胞が作られ、それが皮膚表面から脱落するまでの過程をターンオーバー(新陳代謝)といいます。
通常、健康な人の皮膚ターンオーバーは28日サイクル(加齢とともに周期が長くなっていきます。)ですが、犬の場合は約20日。脂漏症などの犬では、ターンオーバーが5~10日と極端に短くなっていることもあります。