1頭の盲導犬が活躍するまでには、たくさんの人の支援を得ています。一番かわいくてやんちゃ盛りの子育てを担うのがパピーウォーカーです。その仕事の内容や役割を、現在パピ―ウォーカーをされている兵庫県にお住まいの西和田良子さんの例を見ながらご紹介します。

Q.パピーウォーカーとは、どのようなものですか。

A.パピーウォーカーとは盲導犬の候補犬である生後6~8週の子犬を、1歳になるまでの約10ヵ月間、家庭で預かって育てるボランティアのことです。盲導犬にとってもっとも大切な人間に対する親しみや信頼感を持てるようになるために、一般の家庭で愛情いっぱいに育てられることが必要なのです。パピーウォーカーは各地の盲導犬の育成団体ごとに一般家庭の中から募集しています。

パピーウォーカー(盲導犬の候補犬)
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

Q.パピーウォーカーになれる条件は?

A.盲導犬の育成団体によって条件は多少異なりますが、おおよそ次のようなことが求められます。室内で犬を飼える家庭。誰かが家に居て子犬の世話ができる。1日に1時間くらいの散歩ができ、いろいろな環境での経験をさせられること。家族みんながパピ―ウォーカーをすることに同意している。育成団体の指導を守れること。このほか、幼い子どもがいない、他のペットを飼っていないなど、それぞれの育成団体による条件もあります。いずれもケースバイケースで対応しますので、希望者はまず、近くの育成団体に問い合わせてみましょう。

Q.預かっている間にかかる経済的負担はどの程度ですか。

A.育成団体によって異なります。例えば兵庫県盲導犬協会の場合、フードや予防薬は協会が負担。預かっている間のケガや病気にかかる医療費、サークルやケージ、トイレなどの備品はパピ―ウォーカーが負担します。パピ―ウォーカーになるときに、かかる負担について具体的に説明がありますので、理解したうえで協力するといいでしょう。実際には備品などについても、様子を見て貸出しするなど、なるべくパピ―ウォーカーの負担が軽減されるようつとめています。

Q.犬を飼ったことのある人でないとなれませんか。

A.いいえ、一度も飼ったことがない人でもかまいません。むしろ、はじめての方のほうが、育成団体の指導を忠実に守ってくださる場合が多いので、好ましいともいえます。犬を何度も飼っているという人は我流に陥ってしまう場合があります。いずれにしても何かわからないことがあれば、まめに質問をするなど、コミュニケーションをとっていればどちらも問題はありません。

Q.どんなしつけをしないといけませんか。

A.基本的に盲導犬としての訓練は育成団体が行うので、パピ―ウォーカーは特別な訓練をする必要はありません。ただ、後で矯正しにくい遊びや習慣は、子犬のころからさせないようにしつけてもらいます。そのほか、指示語は英語を使う、散歩のときには引っ張らせないようにするなど、後の訓練にスムーズに移行するために、なるべくしたほうがいいしつけはあります。育成団体と相談しながら進めるので、心配はありません。