山本直樹による原作漫画を、城定秀夫監督が映像化した映画『ビリーバーズ』が、2022年7月8日(金)より全国順次公開されている。
『女子高生に殺されたい』(2022年)などの話題作を連発する城定監督が描くカルト集団の世界。議長、副議長、オペレーターと呼ばれる男女3人が暮らす無人島を舞台に、本能を剥き出しにする人間の本質がつぶさに活写される。
今回は、「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、オペレーター役で本作が映画初主演となる磯村勇斗さんにインタビューをおこなった。2週間、島に滞在した撮影現場のエピソードや俳優としての今後の展望を聞いた。
愛のある初主演現場
――衝撃度の高い本作ですが、脚本を読んだときに躊躇はしなかったですか?
磯村勇斗(以下、磯村):カルト集団の話なので、表面上難しいと感じてしまうと思うんです。人間の奥にある部分として何を伝えたいのか。それを考えるまでに時間は掛かりましたが、単純に好奇心が勝りました。
――映画初主演の心境はどうですか?
磯村:主演だからと言って何か特別なわけではないと思いました。責任やプレッシャーはもちろんありましたが、どうしたらこの撮影現場が気持ちよく進められるのか、という環境面のことを意識していました。
自分自身、役者として王道を走ってきているわけではありません。自分のスタイルに合った作風で主演をやらせてもらえたことは、この『ビリーバーズ』でほんとうによかったなと思っています。何より、宇野(祥平)さん、北村(優衣)さんたち共演者や城定監督との出会いがあり、スタッフさんと素晴らしい時間を共有することができました。愛のある初主演現場でしたね。
島での撮影では「みんなで知恵を絞った」
――ニコニコ人生センター本部から送られてきた小麦粉と水で麺をこね上げ、浜辺で拾った貝を入れたボンゴレ風味のパスタは、美味しいかは分かりませんが、食べてみたいとは思いました。久しぶりに雨が降れば、自然の恵みに感謝する。彼らの生活は、原点に立ち返るような感動に満ちていました。島での撮影は、どうでしたか?
磯村:撮影前半は雨がすごく降っていて、気温も下がって冷えた状態でした。2週間の撮影期間、当初撮る予定だったシーンがテレコになってしまったり。とにかく雨をどう映さないかが課題でした。
雨で濡れた地面を濡れていないように、総出で給水パッドを使ったり、そういった意味で工夫が必要な現場でした。みんなで知恵を絞り、話し合いながら進める過程は、映画づくりの醍醐味だと思いました。
――2週間丸々滞在されていたんですか?
磯村:はい、そうです。ほぼずっとロケ地にいました。