Netflixは年内700本のオリジナルコンテンツを作成
Netflixの立場で考えても、身売りする理由が見当たらない。今年は80億ドルを投じ、世界各国で合計700本ものオリジナル番組の配信を予定している。かなり無謀な数字に思えるが、そのうち80本は英語以外の言語で製作されると聞くと納得がいく。多様な視聴者をターゲットにする意図だが、国内製作の負担も軽減されるはずだ。そのほかオリジナル映画の製作も80本予定していることが、テッド・サランドスCCOの発言から明らかになっている。
モルガン・スタンレーのテクノロジー・メディア・通信カンファレンスに参加したデヴィッド・ウェルスCEOは、「オリジナルコンテンツを充実させるという戦略が自社の成長を促している」とし、今後もさらに番組数を増やす意向を示した。
昨年夏には「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学(2005年~放送)」などを手掛けたABCのベテランプロデューサー、ションダ・ライムズ氏と契約を結んだほか、今年2月には「glee/グリー(2009~15年放送)」のライアン・マーフィー氏から5年間の契約を獲得した。
しかしコンテンツ製作にのみ投資するのではなく、今年はマーケティングにも目を向ける。昨年から50%予算を引きあげ、20億ドルを投じる意気込みだ。
ディズニーは巨額を投じて21世紀フォックスやBAMTechを買収
昨年8月、2019年の動画配信サービス開始発表とともに、Netflixに提供してきた一部の映画の独占放送権の打ち切りに踏みきったウォルト・ディズニー。
動画配信市場へ本腰をいれるべく、16億ドルを投じてMLB のストリーミング会社BAMTechの保有株を33%から75%に増やした。年末には21世紀フォックスの大半の事業を総額540億ドルで買収している。これにより21世紀フォックス傘下にあるHuluの株も取得することとなった。
年内放送開始を予定しているESPNの新動画配信サービス「ESPN Plus」は、月額4.99ドルと手頃な価格でより多くの視聴者にアピールする狙いだ(CNN2018年2月6日付記事)。
Amazon Primeの存在も無視できない。会員数は昨年6月の時点で米国だけでも推定8500万人(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ調査)。そのうち65%が定期的に動画配信サービスを利用している。ライバルほどストリーミングやオリジナルコンテンツに力を入れていないものの、大化けしないとは断言できない。Amazon はAppleと提携し、昨年末から世界100カ国・地域でPrimeの動画サービスをApple TV に提供している。
シスコは昨年9月に発表した報告書の中で、動画トラフィック(通信情報量)が2021年までに全インターネットトラフィックの82%を占めるようになると予想している。Appleの本格参入が、台風の目となりそうだ。
文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online
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