暑くなりたくさん汗をかく時期になると、ネックレスやピアスなどのアクセサリーにまつわるトラブルもしばしば耳にします。「ネックレスをつけていたら首がかゆくなった」など、皆さんも覚えはありませんか?

アクセサリーをつけて「かゆい」は危険信号!“汗から始まる”夏のトラブル
(画像=写真はイメージです(以下同じ)、『女子SPA!』より引用)

 今回はこうしたトラブルや金属アレルギーが起きる原因と対策について、吉祥寺まなみ皮膚フ科の院長 葉山愛弥(はやままなみ)先生にお話を聞きました。

アクセサリーの汗によるトラブルってどうして起こるの?

――夏に「アクセサリーで肌が赤くなってしまった」などのトラブルをよく聞きますが、アクセサリーをつけていて肌トラブルが起きる原因は何ですか?

葉山「夏は、汗をかくことで金属から微量の金属イオンが溶け出し(イオン化し)、こうした金属が体内にあるたんぱく質と結合し、これに対する抗体が体内で作られしまうと金属アレルギーが発症すると説明されています。

『同じアクセサリーを、冬は使用できるのに夏につけるとかぶれる』と訴える方も多いです。金属以外のアクセサリーで、単にアクセサリーに皮脂汚れが付着して汗の刺激とともにかぶれることはあり得ますが、金属以外ではあまり聞きません」

アクセサリーをつけて「かゆい」は危険信号!“汗から始まる”夏のトラブル
(画像=吉祥寺まなみ皮膚フ科の院長 葉山愛弥(はやままなみ)先生、『女子SPA!』より引用)

金属アレルギーになりやすい、なりにくい素材は?

――汗とアクセサリーが反応することで、金属アレルギーになってしまうのですね。最近、「金属アレルギー対応」と謳っているアクセサリーブランドが増えた気がしますが、アクセサリーの素材や加工により、トラブルになりやすい、なりにくいものがあるのでしょうか?

アクセサリーをつけて「かゆい」は危険信号!“汗から始まる”夏のトラブル
(画像=『女子SPA!』より引用)

葉山「金属の中でも、ニッケル、クロム、コバルト、スズ、水銀、銅、鉄、パラジウム、はイオン化しやすく、金属アレルギーの原因になりやすいです。ニッケルとパラジウムはアクセサリーによく使われていることが多いので注意が必要です。

 逆にイオン化しにくい純度の高いチタンやサージカルステンレス、プラチナやゴールドは、金属アレルギーになりにくい素材と言えます。

 なお、シルバーは、それ自体はアレルギーの原因になりにくいのですが、割金(わりがね)*に銅やニッケルを使うことが多く、ロジウムコーティングをしていてもアレルギーが出やすいので、心配な方は避けた方がいいでしょう。

 ゴールドも金は溶けにくい性質なのでアレルギーを起こすことはほとんどないと言われていますが、こちらも純金の商品でない限り、割金に別の金属を使っています。

 例えばホワイトゴールドは白い色をだすためにパラジウムを割金にしており、ピンクゴールドはピンクの色を出すために銅を混ぜているのでアレルギーが出る人もいます。チタンなどでコーティングされているものもありますが、メッキが汗で剥がれてしまっても内部の金属で接触皮膚炎を生じることがあるため注意が必要です」

*色調や耐久性、加工のしやすさを調整するために添加する金属のこと