ミルクを与える前にすることは?
ミルクを与える前に子猫の血行を促進し、体の清潔さを保つために母猫はグルーミングをしてあげます。同じように、私たちも子猫にグルーミングをしてあげましょう。
その方法は、まず柔らかなタオルをお湯で濡らして硬く絞り、そのタオルの上で子猫をそっと転がしてあげることです。これにより、体の表面が適度に刺激され、かつ清潔になります。その他に、ガーゼをお湯で濡らし、絞った後そっと子猫の体を拭いてあげるという方法もあります。
また、ミルクを与える前に会陰部を刺激し、排尿を促してあげましょう。これにより、子猫のお腹はすっきりとして、ミルクを飲むようになります。
★ このとき、尿の色を確認しましょう!子猫の尿は通常無色透明です。黄色がかっている場合には水分が足りないことが疑われますので、このときはミルクの濃さを薄めにして、水分の摂取量を多くしましょう。ミルクを飲まない、下痢がある場合といった時には、すぐに動物病院へ連れて行ってあげてください。
★ 子猫がミルクを飲まない場合には低体温に陥っていることもあります。新生子期の子猫は恒温動物ではなく、変温動物と考えても良いくらい周囲環境の温度の影響を受けます。高体温になりすぎたり、低体温になりすぎたりしないようにしましょう。(表1の週齢に応じた体温であるように注意しましょう) 子猫専用の体温計を準備し、体温を一日一回は測るようにしましょう。体温が35.5度以下になっている時には保温を行ってからミルクを与えるようにします。また、このときは保育箱の環境の見直しをしてみること、また子猫を動物病院で診察してもらうようにしましょう。
ミルクを与える量はどれくらい?
初めて人工ミルク与える時の量は市販されている缶詰に記載されている必要カロリーの2/3量くらいからはじめ、下痢等がなければ徐々に規定量にしていくようにします。これは、初めてのミルク成分に体を慣れさせると同時に、少しお腹を空かせた状態にしておくことで、次回給餌の時に慣れていない哺乳瓶の乳首に吸い付きやすくなるからです。
また、子猫の体の80%は水分でできています。そのため、水分を十分に与える必要があります。子猫の一日の水分必要量は体重100gあたり13~22mlです。子猫は脱水を起こしやすいので、水分摂取量は十分に気をつけてあげましょう。
★ 子猫の尿に色がついている場合には、少しミルクを薄めてあげましょう。
★ ミルクは最初のうちは過剰給餌よりは少量給餌を心がけます。週齢によって給餌回数は変化していきます。最初は3時間おきくらいに、そして徐々に給餌回数・時間を延長していき、最終的に第4週齢頃には6~8時間おきくらいに給餌するようにします。この第4週齢頃から乳歯が生え始めます。乳歯が生えていればミルクと離乳食を併用しはじめましょう。
★ 缶詰に記載されている投与量はあくまでも基準量です。子猫によってはその量より多めに必要なこともあれば、少なくてもすむ場合があります。どれくらいがいいかどうかは、体重を毎日計測し、その体重がどれくらい増加しているかどうかをみることで判定できます。これは授業の1時間目にある1日あたりの体重の増加量を参考にしてください。
ミルクを与えた後に行うことは?
ミルクを与えた後は、排泄の補助を行います。ミルクを与える前に排尿を促しましたが、与えた後は排便を促すために肛門周囲をそっと刺激してあげてください。
ご飯を食べた後に私たち人間は便意を催すことが多いのですが、これは「胃-結腸反射」というものが係わっていて、胃内に食物が入ると結腸の蠕動運動が亢進し排便が促されることによります。(このときに便意を我慢していると便秘になりやすくなるのですが…)
子猫も同様でミルクが胃内に入ると、結腸が動き出します。これにあわせて、肛門部を刺激すると便が出やすくなります。この排泄の補助の時、排泄物の色が良くわかるように、白いティッシュやガーゼを用いて排泄の補助を行いましょう。この補助は生後3週齢まではしてあげましょう。それを過ぎる頃には自力で排便排尿ができるようになりますので、子猫用のトイレを用意してあげてください。
★ 自分の体でない場合、つい力を入れすぎてしまい、強くこすりすぎることがあります。排泄の補助を行う場合には『そっと』ということを忘れないようにしましょう♪
★ なかなか便が出ないという時、微温湯の中で下半身浴をさせながら、肛門を指で刺激すると便が出ることがあります。