Iさんとの作戦会議では、B社とC社のお断りの理由を振り返りました。

B社の理由は、販売価格や売り方の面で難しいとのことでした。B社に販路がないので、これは仕方ないと思います。

C社の理由は、現在の出版市場において制作コストと販売との兼ね合いを考えると難しいということでした。B社の場合と違い、C社には販路がありますし、他の刊行作品の傾向とも合っています。それでも企画が通らなかったということは、平たく言えば、売れると思ってもらえなかったのでしょう。

売れるかどうかは実際に出版してみるまでわからないものです。売れないだろうからと持ち込んだ先々で断られ続けた企画が、出版されたら数十万部の大ヒットになった、というのもよくある話です。

だから出版社や編集者さんからの評価を気にして落ち込む必要はないですし、自分が選んだ原書の価値を信じてほしいと思います。

ただ、売れると思ってもらえる、あるいは、売れるかどうかわからなくても推したいと思ってもらえることは大切です。

売れると思ってもらえるためには、原書のアーティストが注目される状況をつくっていく方法もあります。Iさんがアート業界にいれば、そういうムーブメントをつくることも考えられるでしょうが、基本的にはPRのプロの仕事になるので、また別の話です。

それ以外でできることとなると、既存の情報を基にいかに売れそうな感じを伝えていくか、または日本の現在の出版業界や世の中の動きに乗せて、「この流れに合っているから売れるはず」という文脈をつくっていくかでしょう。

C社でも、数年前であれば企画が通ったのではないかと思いました。C社の最近の出版傾向を見ると、アート系よりもSDGs関連が増えてきているようですし、こういう変化に合わせて提案していくことも求められるのでしょう。

売れるかどうかわからなくても推したいと思ってもらえるには、このアーティストと感性の合う編集者さんを見つけることです。その編集者さんが手がけたいと思ってくれれば、出版社の体制にもよりますが、出版できる可能性は高くなるでしょう。

出版社によって、企画会議で全員が納得しないと出版しないところもあれば、誰かひとりでもやりたい編集者さんがいて手を挙げれば出版するところもあるので、このあたりは当たってみないとわかりません。