10代にして黒猫チェルシーのボーカルとしてメジャーデビューし、俳優としても映画、ドラマに欠かせない存在となった渡辺大知が、主演ドラマ『ロマンス暴風域』で風俗嬢との恋にのめり込む冴えない男に挑む。「ターニングポイントになる作品」と自信を覗かせる勝負作と、表現活動にかける思いを聞いた。
ずっと小説を書いてるような小学生でした
──渡辺さんは俳優、ミュージシャン、映画監督と多岐にわたって活動されていますが、子供の頃の夢は何でしたか?
渡辺:小さいときから物語を作る人になりたくて、ずっと小説を書いてるような小学生でした。小学校5、6年生くらいで脚本家という仕事があると知って、そこから「脚本家になりたい」って言うようになったんです。
──それは映画の脚本家?
渡辺:そうですね。もともと演劇をよく観に行く家庭で、親に「物語を作りたいなら小説家じゃない仕事もあるよ」と教えてもらって、「じゃあそれをやりたい!」みたいな。でも中2、3くらいで壁にぶち当たったというか、長編は書くのに時間がかかりすぎる。それで短編をいっぱい作るようになり、同じ流れでギターのコードに合わせて歌詞を書くようになりました。
音楽は鳴らしている時間がすでに正解
──高校卒業後に東京進出して黒猫チェルシーとしてメジャーデビューしていますが、同時に大学に進学して映画を学んでいますよね?
渡辺:僕はメジャーデビューの前からバンドのメンバーには東京の大学に行きたいと話していたんです。とにかく学問として勉強することが好きなんですが、音楽は学ぶ必要を感じなかったというか、もう音を鳴らしている時間がすでに正解みたいなところがある。一方で映画のことは大好きなのに、どうやって作ってるのかが一番わからなかった。その裏側を見てみたいという欲望がずっとありました。
──バンドでのデビューより前に’09年に映画『色即ぜねれいしょん』で俳優デビューすることになったきっかけは?
渡辺:『音燃え!』という高校生バンドの勝ち抜き番組があって、黒猫チェルシーで決勝まで行けたんです。それをたまたま今の事務所のマネジャーが見ていて、『色即ぜねれいしょん』の主演オーディションに出したらいいと思ってくれたらしくて。いきなり「東京の芸能事務所の者ですけど」って電話がかかってきて、「絶対騙される!」って思いました。ただ詐欺だったとしても「その裏側が知りたい、騙されて痛い目に遭ったって言いたい!」みたいな気持ちもありました(笑)。オーディション会場に連れていかれたら監督の田口トモロヲさんがいたので、ようやく「あ、本当かも」って。
──それまでに演技をしようと思ったことは?
渡辺:ほぼなかったですね。主演に落ちても小さい役で選ばれるかもしれないと言われていたので、むしろ映画の現場が見られることを期待していました。