過激な濡れ場も美しい
そして、今回の『ビリーバーズ』では初めから最後まで大真面目な主人公だからこそ、磯村の「根底に感じさせる良い人ぶり」が最大限に発揮されたと言えるのではないか。その真面目さは時に行き過ぎてコメディとして笑えるし、不器用さも含めて好きになれる。しかも、磯村は無人島でサバイバル生活をする役柄に説得力を持たせるため食事制限をして体重を減らし、そして全裸での過激な濡れ場にも挑戦している。
その濡れ場に至るまでに葛藤する様も愛おしく、痩せているようでがっしりともしている身体が美しく見えるため、まったく露悪的に見えない。磯村の放つエロスを脳裏に焼き付けたい人はもちろん、彼の役者としての実力が「大真面目(だけどちょっとバカでヘタレ)」というステータスに全振りした様を見たい人には、是が非でも見てもらいたいのだ。
もちろん、他のメインキャラであり磯村に負けず劣らず真面目な女性に扮した北村優衣の文字通りの体当たり演技、カルト宗教の考えにどっぷりハマっていてヤバい中年男に扮した宇野祥平の“狂演”も見所だ。彼らの予測不能の三角関係(?)が、どのように帰結するのかにも注目してほしい。
なお、劇中では直接的に見せないまでも、磯村以外の役者による性暴力の表現、それに類するシーンがあることは注意点としてあげておく。とはいえ、作り手が性暴力を悪逆的で断罪すべき行為として描いているのは明白で、実際に性暴力を働くキャラにはこれ以上のない「罰」が待ち受けているので、溜飲を下げることができるだろう。
カルト宗教の危険性は他人事じゃない
『ビリーバーズ』の原作漫画が連載されていたのは1999年。実に20年以上を経ての実写映画化となるわけだが、主題となっているカルト宗教の危険性は、むしろコロナ禍で陰謀論がはびこり、分断や差別が問題視される今ではより身近なテーマとして受け取れるのではないか。
前述した通り「カルト宗教に洗脳された人たちの無人島サバイバル」はかなり極端な設定かつ描写であるし、俯瞰的に見られるのでダークコメディとして笑えるのだが、彼らが「世間から隔絶されて」「信じきっている」事実そのものはやはりホラーとしても映る。
しかも、終盤で突きつけられる事実と、とあるスペクタクル的な展開では、より「あなたも他人事ではないかもよ」と突きつけてくる。ここで重要な人物を、原作漫画の作者である山本直樹が演じているというのもインパクトがあった。さまざまな誘惑も多い現代で「カルト宗教や詐欺には騙されないぞ!」という気持ちを新たにするためにも、本作を観てみてはどうだろうか。
【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます
<文/ヒナタカ>
提供・女子SPA!
【こちらの記事も読まれています】
>無印良品「メガネ拭き」が買い。パンプスの汚れも落とせちゃう
>手書きの「パスワード管理ノート」が人気。 便利&可愛いアイテム3選
>3COINS「マスク インナーパッド」で息苦しくない、リップもつかない!
>カルディのイチオシ調味料5選。「焼肉ザパンチ」「もへじ」が最強
>ダイソー“簡単泡立て器”が神、ふわっふわのオムレツが作れちゃった