赤ちゃんに与える母乳と、アレルギー症状の関係性を考えます。母乳が原因で赤ちゃんがアレルギー症状を起こすことはありますが、決して、母乳そのものがアレルギーの原因になることはありません。アレルギーと母乳の知識を勉強すれば、安心して子育てができるようになるでしょう。

そもそもアレルギーとは何だろう?

アレルギーとは、体に入り込んだ物質を排除するため、体が過剰な防御反応を示す現象を指します。一種の免疫反応なのですが、アレルギーの場合、かえって体に負担をかけるほどの症状が出てしまうこと、さらには、アレルギーの原因になる物質が人によって異なること、などの特徴があります。

一般的によく知られるアレルギー症状に、湿疹があります。湿疹とは、赤い吹き出物が体に吹き出たり、皮膚にかゆみを感じる症状です。食物アレルギー(卵・小麦・ソバ)などをもつ人が身近にいる人ならば、湿疹のの深刻な症状を見聞きしたことがあるでしょう。

では、母乳によって引き起こされる可能性のあるアレルギーの、主な症状をまとめましょう。

母乳によるアレルギー症状(1):湿疹について

湿疹や蕁麻疹は、アレルギーが原因になって起こる皮膚の症状の一つです。一般に、
(1)かゆみ
(2)赤い吹き出物
(3)皮膚が真っ赤に変化する
といった反応が起こります。

湿疹や蕁麻疹が体のどの部位に起こるかは、個人差があります。特に湿疹の症状が起きやすいところは、
(1)手の甲
(2)足全体
(3)頭皮
(4)お腹まわり
となっています。まれに、口内や気道・胃腸などの内臓にも湿疹が発生することがあります。体表面に湿疹の異常が無いからと言って、油断は禁物です。卵や牛乳などによるアレルギーが疑われるときは、子育て中の赤ちゃんの状態を細かく観察することが重要です。

母乳によるアレルギー症状(2):アナフィラキシーについて

母乳が原因のアレルギー反応には、アナフィラキシーショックという重篤な症状もあります。これは、「湿疹」と「呼吸器の異常」、もしくは「湿疹」と「粘膜の異常」など、複数の体の部位に異変が見られ、そしてそれが数分~数時間の短時間内に起こることが特徴です。

症状は人によって様々です。
(1)皮膚の湿疹
(2)目や唇など、粘膜の腫れ
(3)呼吸困難
(4)急な血圧低下による失神

呼吸困難や湿疹・粘膜の異常は、卵や牛乳を含む母乳を飲んでから短時間で急速に悪化し、致命的な症状を引き起こす場合があります。意識を失うことも考えられるので、子育て中に異常を感じたら、すぐに救急車を呼びましょう。

母乳によるアレルギー症状(3)咳・呼吸困難

アレルゲンの影響により、咳が止まらなくなり、そのせいで呼吸困難に陥ることがあります。これは、アレルギー反応によって気管が狭くなることが原因です。

卵や牛乳などのアレルゲンを含む母乳を飲んだあと、比較的短時間のうちに、喘息特有の「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という苦しい呼吸音が漏れたり、赤ちゃんの鳴き声が枯れたりする症状が現れます。