平均寿命は52歳と言われているアルコール依存症。最上うみみさん作のコミックエッセイ『お酒で壊れた人が集まる場所で』には、アルコール依存症予備軍となった当時21歳の最上さん自身が、アルコールを断つため自助グループに通い、同じ苦しみを抱えた仲間たちと共に過ごした壮絶な日々が描かれています。
【1話の出張掲載はこちら】⇒お酒で人生が壊れた女性、アルコール依存支援の集まりに参加して号泣のワケ<漫画>
実は幼い頃、アルコール依存症の母から虐待を受けて育った最上さん。自分は絶対に母のようにはならないと心に誓っていましたが、母が亡くなった途端、激しい虚無感に襲われ気がつけば自分自身もお酒をやめられない日々を送るようになっていました。
「アルコール依存症の問題は、お酒自体というより依存する心に原因がある」と話す最上さんに、アルコール依存症から立ち直れた要因や、現在のお酒との付き合い方についてお話を聞きました。
トラウマを抱えている人が圧倒的に多い
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――お母さんも最上さん自身も蝕んだアルコール依存症とは、いったいどのような病気だと思いますか?
最上「段階がある病気ではないかと。アルコール依存症は最終的には脳の病気といわれているんですよ。お酒を飲まなきゃやってられないという精神状態自体に病的なものを感じます。私は依存はしたけど、予備軍でとまっていて、謂わば精神依存の状態。これが脳までいくと、薬物治療も必要になっていきます」
――どういう人がアルコール依存症になりやすいのでしょうか?
最上「飲むお仕事とか、環境としてお酒を飲まなきゃいけないという物質的な理由で依存症になるパターンもあります。ただ、8~9割は心の隙間がある人でしょうね。トラウマを抱えている人が圧倒的に多い。それでいて、感情を吐き出せる場所がない人が陥りやすいのだと思います」
自助グループに入って、アルコール依存症の怖さを知った
――自助グループで自分以上に悪化している人を見たことがあると思います。その人たちに対して、どういう感情を抱きましたか?
最上「率直に恐怖を感じましたね。母のことを見ていましたから。飲んでいる時に人格が確実におかしくなる、自分がその一歩手前だということが何より怖かった。その恐怖心すらも自助グループに入ったからこそ、気付くことができたわけですけど」