2015年、大阪でスタートした「子猫リレー事業」。その活動について知るべく、獣医師会の方や、実際に参加されたボランティアさん、里親さんにお話を伺いました。
飼い主のいない子猫を、獣医師さんやボランティアさんの手を借りて約6ヶ月齢まで元気に育て、その後、その子を一生大切にしていただける方にお渡しする事業です。
ワクチン接種などのメディカルケア、食事やトイレのしつけを行います。
人が大好きな子になれるよう、3ヶ月間お世話します。(原則60歳以上の方)
最終的な里親さんの元へ。キトンシッターの方が育てた猫ちゃんに会える交流会なども企画しています。
大阪市獣医師会会長・細井戸先生にお話を伺いました!
公益社団法人・大阪市獣医師会会長。
「子猫リレー事業」を創始・運営されています。
●「子猫リレー事業」が生まれたキッカケは?
2011年東日本大震災後、多くの被災動物が保護された仙台市動物管理センターでは、職員の方がボランティアの方々の協力を得て、日々懸命に動物たちの世話をしていました。 その中には生まれて間もない子猫も含まれ、その真摯な姿を目にして、自身も何かをしたいという想いが強くなりました。 大阪市でも、毎年多くの「飼い主のいない猫」たちが動物管理センターに保護されている現状があります。 「地域猫」として生まれた子猫は栄養状態も悪く、8割の子が無事には育たないと言われる中、少し手を加えてあげるだけで助かる子もいるはず。
獣医師やボランティア、地域の人々が協同することで少しでも「尊い命を救うこと」ができるのではないかと考え、約5年間の構想・準備の末、子猫リレー事業がスタートしました。
●今後の目標を教えてください!
子猫リレー事業では、キトンシッターは原則60歳以上の方と決めています。 高齢者の方の中には年齢のことを気にされて、「最後まで面倒をみられるか分からないから…」と動物と暮らすのを諦めておられるケースもあります。 そんな方々にこそ豊富な経験を活かし、ぜひ地域社会の活性化と子猫の社会化にご協力いただきたいと願っています。
最終的な里親さんとなっていただく若い世代の方には、生き物と暮らす喜びを知ってもらい、また皆でつないだ尊い命を責任を持って育てていただくために、月1回動物病院に連れて行ってもらうことをお願いしています。 こうして子猫の成長を通じて社会がつながっていくと同時に、猫を「社会の一員」として認めてもらえる、そんな世の中にしていきたいと考えています。
~ 東日本大震災・当時の被災地の様子 ~
(2011年6月取材)
当時は応援のため何度も仙台市動物管理センターへ通ったという細井戸先生。 限られた資源・予算で工夫してお世話をされている中で、「自分も何かできないか」と手を挙げてくださったご高齢の方がいらっしゃったそうです。 その方は乳飲み子猫を引き取って、一生懸命ミルクを与えて育ててくれました。それがキトンシッター構想のきっかけとなりました。