飼い主のいない犬と猫の医療費を支援する「ハナコプロジェクト」
――「ハナコプロジェクト」は、飼い主のいない犬と猫の医療費を支援する団体ですね。
多頭崩壊の現場から (c)hanako-project
山田:動物保護活動というと、シェルター経営がパッと浮かぶかと思います。しかし色々な現場を見てきて、シェルター運営をするなら今の仕事をやっている場合ではなくなると思いました。ブラジル在住のグレンさんは、ものすごい資産があるのと、お国柄も違います。日本の東京にいる自分に同じことはできないし、私自身、仕事を辞める気はありません。石田さんも俳優としての仕事があります。では自分たちには何ができるかと考えたときに、医療費支援があると思いつきました。
できることを着実に。10の動物病院と協力
――“不妊去勢手術”と“ちびっこケア”がすでにスタートしていますね。
取材で訪れたイギリスの動物愛護団体・メイヒューアニマルホーム (c)hanako-project
山田:イギリスでは飼い主のいない犬や猫を動物病院に連れていくと、割引価格があったり、医療費が動物愛護団体から病院へ充足されるしくみがあります。そうしたシステムを構築していけたら。保護犬猫の不妊去勢手術も、スター獣医さんが月に100匹抱えるのではなく、多くの病院が月に2匹だけやれば相当な数になる。獣医さんは全国に1万人ほどいるわけですし。
ただイギリスなどは、動物愛護団体に集まる寄付が年間数百億円だったり、動物病院も自社ビルも持っていて、そこで働いている人も何千人もいる。企業の寄付なども桁違い。大体歴史が200年くらいあります。そんなところに1~2年で追いつけるわけがありません。
無理なことをやろうとすると潰れていきます。気持ちだけでは回らない現実は何度も見てきました。だからできることを着実に。本当はいろいろな医療ができればいいですが、まずは、“不妊去勢手術”と“ちびっこケア”に行きついたんです。
イギリスの保護された犬 (c)hanako-project
――現在は10の動物病院と協力されています。
山田:全国47都道府県に1軒ずつくらいあるのが理想ですけど、大勢の獣医さんそれぞれと7~8ヶ月ほどかけて何度もやり取りして、プロジェクトに賛同していただける病院を見つけていきました。増やしていきたい気持ちはありますが、命を預かるところですから、すぐには決め難いですね。