テレビディレクター・作家として活躍しながら、先月20日に、俳優の石田ゆり子さんとともに、飼い主のいない犬と猫の医療費を支援する団体「ハナコプロジェクト」のスタートを発表した山田あかねさん。
山田あかねさん (c)hanako-project
石田ゆり子さんとの関係を中心に聞いた前編に続き、後編では保護犬猫、野良犬の厳しい現状に心を痛めつつ「それを伝えることが自分の仕事なのだから」と揺れていた山田さんが、プロジェクトを始めた理由、そして今後への思いなどを聞きました。
【前編インタビューはこちら】⇒石田ゆり子×山田あかね、保護犬猫の支援団体を立ち上げ「私たちにも何かできる」
「自分はテレビや映画を作る人だから」を超えて
――石田ゆり子さんとスタートさせた「ハナコプロジェクト」ですが、そうした思いに至った経緯を教えてください。
(c)hanako-project
山田あかねさん(以下、山田):2010年に愛犬を亡くしたことをきっかけに、犬猫に関する取材を多くしてきました。福島の原発20キロ圏内に残された動物たちや、多頭飼育崩壊など、さまざまな現場に立ち会って、非常に悲惨な状況、助けなければいけない犬や猫たちを目にしてきました。時には手伝うこともありましたが、基本的にわたしは撮る側です。いつも揺れ動きながら、「それを伝えることが自分の仕事なのだから」と思っていました。
それが『家族になろうよ』(NHKBSプレミアム2019)の取材で、スノーデン事件をスクープしたことで知られる世界的なジャーナリストのグレン・グリーンウォルドさんに、ブラジルへ会いに行って心を動かされたんです。
彼はブラジルで自らシェルターをやっています。ジャーナリストの仕事とその仕事は別というか、犬が好きだからやっていると。「何で? 当たり前でしょ?」みたいな感じなんです。「自分はテレビや映画を作る人だから、それに徹して、手を出さなくていいのでは」という考えが、揺れていきました。2019年にアフガニスタンでテロリストの凶弾に倒れた医師・中村哲さんにも感銘を受けました。
残りの人生をもうちょっと還元したいと思った
――用水路の整備や農地の再生などでも、尽力された方ですね。
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山田:中村さんはお医者さんですが、医療支援をやっていくなかで、医療だけでは助からない命があることに気づいて、自らブルドーザーの運転免許を取って用水路を作った。私も10年の取材を通じて「こういう仕組みがあればもっと助けられるのに」といったことが見えてきたんです。
それでも「自分が手を出すことじゃないでしょ?」という思いがありましたが、私も年齢を重ねてきて、もちろん取材などは続けていきますけれど、残りの人生でやれることを、もうちょっと還元してもいいのではないかという気持ちになった。そうしたときに石田ゆり子さんと出会って、彼女も同じ思いだと知ったんです。