預金は限りなくゼロでいい
預金はもう限りなくゼロでいいでしょう。
年収の1年~2年分は預金で持ちましょうみたいなことを言う方もいますが、そんなに必要ありません。
年収400万円だとしたら、800万円も預金で持つ意味があるでしょうか?「いざとなった時必要だ」という方もいますが、いざってどういう時ですか?たとえ失業したとしても、一気に2年分はいらないのではないでしょうか?
だから、預金は本当に3カ月分ぐらいでいいと思います。
さらに、積立の投資信託の場合は、そのファンドを売却して、必要な分をいつでもお金にできます。そういう形でキャッシュにできるのは投資信託のいいところで、これは預金と同じと考えてもよいと思います。だとすると、金利のつかないところに置いておく必然性はありません。
結局5万円はつくれるのか?
毎月5万円の積立投資を継続するための資金をつくることは可能なのでしょうか。
これは絶対に可能であると断言できます。
明らかにコストを減らせるものを挙げると、まずは子どもの教育費。小学校から高校まで公立で通せば、私立に通う場合に比べて1161万756円の差ですから、これを月間に直すと12カ月×12年で144カ月。つまり、毎月8万630円もの差になります。もし、子どもを私立に上げるつもりでいるなら、それを公立に替えるだけで毎月約7万円もの資金を積立投資に回せることになります。
あるいは普通乗用車を軽自動車に替えれば、毎月のコスト減は1万6611円ですから、これで8万5889円まで積立投資に回せるようになります。
これにもっと大きい住宅関連のコスト差が加わります。都心一等地に建っているファミリー向けマンションは高嶺の花としても、首都圏で家賃並みの住宅ローンを払えば、月々10万円くらいにはなります。これを郊外で一軒家を構えれば、前述したように、月々の返済金額は4万3026円に収まりますから、これだけでも約5万7000円のコスト削減になります。
これらをすべて合計すると、何と毎月15万4241円もの資金が毎月、捻出できますので、その一部を積立投資に回すことができます。さらに言えば、月々の通信費、光熱費、被服費、食費などもある程度、切り詰めれば、16万円くらいにはなるかもしれません。
こう考えると、毎月5万円の積立額を捻出するのは、難しくないことがおわかりいただけると思います。確かに、こうした節約はある意味、面白くないかもしれませんが、将来のことを全く考えず、今の快楽にばかり身を委ねるような生活は、20年後、30年後に絶対、後悔します。
特に40代は選択の時期です。取捨選択をして、人生に一番大事なことに時間もお金もかけるべきです。そのためには、住宅ローンがどうだ、車がどうだと言っている場合ではありません。
キリギリス生活に別れを告げて、着実に、地面に足をしっかり付けた生活を送るように心がけてください。
中野晴啓(なかのはるひろ)
セゾン投信代表取締役社長。1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。07年4月より現職。「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を4年連続受賞。公益財団法人セゾン文化財団理事、一般社団法人投信協会理事。著書に『預金バカ』『退職金バカ』(講談社)、『投資信託はこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)他多数。
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